今時、放送する側も見る側も中立なんて信じてないと思うのだが、それでも中立を謳わなければいけないんだよな。 その構造は自衛隊とよく似ているのだが、メディアにその自覚はあるのだろうか。
NHKのクローズアップ現代について、産經新聞から。
NHKのLNG高騰問題に関する番組で、出演依頼を受けた研究者が取材過程で原発再稼働を容認する発言をしたため、出演取りやめになっていたことが31日、分かった。 NHKは「原発ゼロを前提にしており趣旨にそぐわない」と説明したという。 研究者は「ビジネス交渉のカードとして最初から 原発ゼロを前提にするのはおかしい。公正・中立に疑問を感じる」としている。(原子力取材班)
問題となった番組は昨年11月28日放送のクローズアップ現代「“ジャパンプレミアム”を解消せよ~密着LNG獲得交渉」。
日本エネルギー経済研究所顧問の十市勉(といち・つとむ)氏によると、NHKは十市氏に出演を依頼、同21日にディレクターらと打ち合わせた。 国内では関西電力大飯原発以外の原発は停止しておりNHKは、輸入が急増し高騰するLNG価格をどう下げるかコメントを求めた。
これに対し、十市氏は
- LNGの輸入源と調達方法の多様化。
- 交渉力強化のため、共同購入やLNG火力の代替手段の確保が重要。 そのためには安全が確認された原発は地元の同意を得たうえで再稼働させたり、石炭火力の活用が有効。
- 電力制度改革で発電市場の競争の促進。
を挙げた。
だが取材翌日、ディレクターから「番組に出演するには意見を変えていただくことになる」と電話があり、理由として「原発ゼロを前提にどう価格を引き下げるかを趣旨にしており、再稼働に関する発言はそぐわない」と述べたという。
十市氏はNHKに説明を要求。 チーフプロデューサーから連絡があり「原発ゼロを前提にしていない。総選挙前であり放送の公正・中立に配慮した」と釈明した。 十市氏の発言のどの部分が、放送の中立に反するか説明はないまま、出演は取りやめになった。
十市氏のLNG価格高騰対策の3案について、元は段落内の文列記だったものをリスト形式に変更し句点を追加。
NHKの説明がディレクターとチーフプロデューサーで違っているが、こうした説明・釈明が二転三転するのはよくあることだし、その都度できるだけ問題にならないように無難な言葉を選ぶものだし、理由に大して意味は無い。 はっきりしているのは、NHKは現時点では原発再稼働に反対の立場だってこと。 その反対が、空気を読んでのものか、もっと別の意図があってのことかは判らないが。
記事を報じる産経の側のポイントは何だろう。 原発再稼働反対に反対なのか、意見を封殺する姿勢を問題としているのか。
まあ、前者だろうな。 結論が先にあって、それに都合のいいように色々 「編集」 するのがメディアってもので、それは産経だって同じだろうから。
ところで俺は原発を 「人がきちんと扱えば制御できるもの」 と思っている。 人は必ずミスするけど、ミスはシステムで防げるとも。 例えるなら、SUBARUの自動車にアイサイトを装備するような。 なので、その延長でさっさと再稼働すればいいと思っているのだが、世間一般の認識はどうなんだろう。 原発そのものが駄目なのか。 設備はいいが職員が、わざわざリミッターを解除する馬鹿ドライバーみたいなイメージなのか。
後者だとすれば、反対が多いのもしょうがないか。 矛と盾の戦いは、大抵不幸な結末で終わるのだ。 アイサイト装備の車を馬鹿ドライバーに運転させたらどうなるか。 これは、下剤と下痢止めを同時に飲むよりも不幸の予感がするもんな。