国立西洋美術館でやっている プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光 を見てきた。 世間的には平日だったせいか、意外に空いていた。 まあ意外ってだけでやっぱり人は多かったのだが、ちょっと邪魔って程度。
展示は、ベラスケスを代表とする17世紀のスペイン宮廷画家の作品が中心。 スペイン最盛期の作品でもある。
各展示室にこんなサブタイトルが付けられているが、ジャンルを通して全体的にスペイン風味。 黒が濃い。 そして硬い。 構図がキッチリ決まっていて、描かれる対象の輪郭や位置関係がはっきりしている。 真面目に描いていると言えばいいだろうか。 そんな雰囲気になってしまうのは、宮廷画家として描いているためらしい。
看板はベラスケスだが、他の画家も技量はだいたい同じぐらいに見えた。 各コーナーの冒頭にベラスケスが展示されているのだが、それを見た後に他の作品を見ても、ほとんど差は感じられない。 カラバッジョ展やダヴィンチ展では、並べられた他の画家がちょっと可哀想に思えたが、今回はそんな感じは無い。
以下、印象の羅列。
風景画は印象が弱い。 ジャンル分けするなら風景画ってだけで、雄大な自然に感動したとかじゃなく、何かの威光を示すための道具としての風景なんだろう。
その 「何か」 を直接描いている分、人物画は印象が強い。
フェリペ4世の顔がどれもしゃくれていた。 あれでも若干控え目なのか、あれがリアルなのか。 フェリペ3世も一点描かれていたが、やっぱりしゃくれ顏だった。
アンドロメダを救うペルセウスが、サッカー選手っぽかった。
全裸にヘルメット…
小人の絵が何点かあったが、宮廷内外で雰囲気が全然違った。
宮廷外の方は絵を見るより先に
のびのび描かれている
という解説を読んだのだが、これまでに見た絵からきっとのびのび具合も大したことないだろうと思っていた。
が、見ればはっきり分かるのびのび。
ただ、大きいから分かる表情ってのもあるようで、絵葉書になったものはやっぱり硬かった。
同じことを 小鳥のいる聖家族 でも感じた。 実際の絵のマリアは穏やかないい表情をしていたのだが、絵葉書になると硬い。 毎度思うことだが、大きさの効果は大きい。
そうそう、最初の芸術の展示室で正面に大きく掲げられていた 聖ベルナルドゥスと聖母 だが、これが彫像のマリアのおっぱいビームを神学者が直飲みしている絵で、俺の後ろにいた女子グループがドン引きしてた。
「なにあれ?」
「うわ! どうやったらこんな発想になるんだろうね」
なんて。
かつての神の奇跡も、今やただの変態の所業。
館内休憩所に大きく掲げられていたポスター。 左から3番目がフェリペ4世。