印象派への旅

昨日より30分ぐらい早く上野に着いて東京国立博物館の前まで来たら、昨日よりも長い行列があった。 まあ、そんなオチだろうと思っていたよ。

東寺展は縁がなかったと諦めて、その足で上野から渋谷へ移動。 Bunkamura ザ・ミュージアムへ。 こちらは現在 印象派への旅 海運王の夢 - バレル・コレクション - を開催中。 小規模ながら俺も印象派への旅だ。

海運で財を成して城に住んでいたというウィリアム・バレル。 そんなバレルが若い頃から収集していた作品9000点以上をグラスゴー市に寄贈したのが、バレル・コレクション。

寄贈にはこんな条件がついていたのだが、バレル・コレクションを展示する美術館が2015年から2020年まで改修工事ということで、約束はあっさり反故にされてしまった模様。 ここで稼げないならよそで稼いでこいってことだろうか。 さすがイギリス。

そんな流れで、バレル・コレクションから主にフランス絵画を展示するのが今回。

  1. 身の回りの情景
  2. 戸外に目を向けて
  3. 川から港、そして外洋へ

という構成の展示なのだが、この構成の意図は正直判らない。 バレルの人生のトレースってことはないよな。 若い頃から親の手伝いで船に乗っていたみたいだし。

解説には、そのあたりの説明もあったのだろうか。 解説、人が邪魔でほぼスルー。 まあ、ちゃんと読んだところで、素直に納得するとも思えないんだけどさ。

とまあ構成の意図はよく判らないままだが、展示品は割と好きな感じのものが多かった。 人物画、静物画、風景画、どれもだいたい好印象。 ずっと見てられる。 バレルが何故これらを集めたのか、ちょっと判る気がするよ。

第1章と第2章から、いくつか印象に残ったものを挙げておこう。

食卓の家族 ヨハネス・ボスボーム

農村の、たぶん当時としてはちょっと良い農家の家の中。

納屋やら何やらが合体した広い空間の端の方にテーブルを置くのは、衛生的にはどうかと思うが、これが当時の当たり前だったのだろう。

勉強熱心な使用人 テオドール・リボー

タイトルそのまんま。 仕事の合間に勉強している使用人の図。 光の差すところで本を読む姿が印象的。

会計士 テオドール・リボー

上と同じ雰囲気の作品。 仕事に集中しているのが伝わってくる。 電話の取り次ぎも躊躇われるレベル。

若き芸術家 ヤーコブ・マリス

熱心に絵を描く少年の図。 親には 「この子は絵を描いている時だけは大人しい」 なんて思われてそう。

姉妹 ヤーコブ・マリス

微笑ましい。

ペットの山羊 ヤーコブ・マリス

山羊も女の子も可愛い。

マテイス・マリス

ヤーコブ・マリスの弟、マテイス・マリスが描いた少女。

兄弟揃って少女を描いているが、兄の作品からは親の目線を、弟の作品からはロリコンの目線を感じる。

シャンパングラスのバラ エドゥアール・マネ

印象派的な描き方は、風景ではなく静物としての花には向かないんじゃないかと思っていたが、これはまあまあ良い感じ。

第3章後半は写真撮影可だったので、写真で。

アムステルダム
アムステルダム ヤーコブ・マリス

またもヤーコブ・マリス。 子供だけじゃなくて風景もちょっと童話チックな雰囲気。

オランダの漁村
オランダの漁村 ヨハネス・ボスポーム

ヨハネス・ボスボームも風景画で再登場。 淀んだ空がオランダっぽい。

しかし、ここで挙げたものを振り返ってみると、展覧会のタイトルとは裏腹に印象派の作品がほとんどないな。 印象派のちょっと前の雰囲気の作品ばかり。

まあ、展示品の構成もそんな感じだったんだけどさ。 印象派の有名作品も展示されてはいたが、展示品の比率では印象派が少数派。 俺にとっては、この構成は嬉しい誤算だったのだが。

見ている途中は、いかにも印象派がメインな 印象派への旅 というタイトルはどうなんだろうと思っていたが、これはこれで良いのか。 印象派の旅じゃなくて印象派への旅。 つまり旅の終着点が印象派。 旅の途中が印象派じゃないのは当然なんだよな。