東京都庭園美術館でやっている メディチ家の至宝 ルネサンスのジュエリーと名画 を見てきた。
このところの展覧会にイタリアものが多いのは、日本とイタリアの国交樹立150周年だから。 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリ、カラヴァッジョ、ちょっと毛色が違うがブルガリ。 このメディチ家の至宝展もその一環。
ルネサンス期のイタリアで文化的にも経済的にも中心だったメディチ家だけに、どんなものが展示されているのかと期待していたのだが、正直ちょっと期待外れだったな。 絵画はメディチ家の人たちの肖像画ばかりだし、宝飾品は地味だし。
いや、地味ってのは言い方が違うか。 展覧会として凡庸とでも言えばいいのかな。 最後まで見た感想が 「ルネンサンスの頃の宝石ってこんな感じだよね」 というぐらい。 ブルガリ展を見てからそう時間が経ってないので、彼方とついつい比べてしまい、特に宝石の加工技術が見劣りするのが気になってしまう。
ただ、違う方向の驚きはあった。
展示されているカメオは古代ローマ時代からルネサンス初期までと時代的にかなり幅広いのだが、それらが同列に並んでいても、どれが新しくてどれが古いのかさっぱり判らない。 千年以上後でも遜色ないものを作る古代の職人って凄いよな。
ルネサンスの頃は古代ローマやギリシャが持て囃されていたようで、だから新しく作るものも古代風に仕上げたりもしただろう。 なので千年以上も昔風に作れるルネサンスの職人が凄いのかとも考えたのだが、展示を一通り見て思うのは技術の頭打ち。 凄いのはたぶん古代の職人なんだろう。
そうそう、一口にカメオと言っているが、厳密には、浮き彫りがカメオ。 沈み彫りはインタリオというのだそうだ。
展示の各コーナーでメディチ家の盛衰が解説されているのだが、最後の方にあった解説によると、蓄えた財宝はメディチ家の没落に従って流出し、最後に残ったものは全て 「フィレンツェで一般公開すること」 という条件で、メディチ家最後の血族アンナ・マリア・ルイーザからトスカーナ大公国に寄贈されたのだそうだ。 最後に残ったものが死守した家宝なのか売れ残りなのか、気になるところだな。
今日ここに展示されているのはそれら寄贈品からの抜粋なのだが、フィレンツェから遥か彼方の日本に持ってきてよかったのか?
ゲートから東京都庭園美術館へと続く道。 新緑が涼しげ。
東京都庭園美術館。
元は宮家の私邸で、外観はシンプルだが内装は凝っている。 完成は昭和初期で、フランスで流行っていたアール・デコ様式を取り入れたのだそうだ。
この建物自体が常設展示品扱いだった。
正面玄関の狛犬。 こいつ、立ち位置は阿吽の阿の方なのだが、口はほとんど開いてないんだよな。
各部屋の窓の上にある換気口(?)が良い感じ。
庭の灯篭。
これはこれで良い感じなのだが、機能性という観点からは疑問の人員配置。
庭の彫刻。
「絡み合う肉体」 とか 「組んず解れつ」 とか、ちょっと頑張ればエロ目線に答えてくれそうな雰囲気ではある。