2011 07 02

iPad を買った

確かにバスはガラガラで通勤は楽にはなったのだが、どうも馴染まない。 って、まだ2日だから馴染まないのは当たり前か。 そのうち、これが当たり前のリズムになって、10月初めにまた同じようなことを思うのだろうか。

「毎年のことなんだけど、高幡不動の参道が、七夕飾りで大変なことになってるんだよ。 大きな笹に短冊がいっぱいぶら下がってさ」

「ああ、そう言えばそんな時期ですね」

「その中に、『おおきくなったらキリンになりたい』て書いてあるのがあったんだよ」

「え? キリンですか? 動物の?」

「たぶん。 これ、『大きくなったら』を、成長じゃなくて物理的に大きくなったらって考えたのかな」

「どうですかね。 子供のことだから、普通に、大人になったらって思ってるんじゃないですか?」

「そうか。 それって、ザムザみたいに、ある日起きたらキリンになってました、みたいな変化なのかな」

「どう変化していくかなんて、考えてないんじゃないですか?」

「やっぱりそうか。 っていうか、だんだん人から麒麟に変化していくとか、リアルに想像できたら絶対に採用しない願い事だよな」

「あはは、それは確かに」

「だから、その子のためにも、心の中で突っ込んどいたよ。 お前の願いは叶わないって」

「あー、またそんな大人気ないことを」

「いや、でも、叶ったら困るだろ? だからさ。 諦めずに頑張れば、いつか夢は叶うとか思ってないか? それ、嘘だから。 どう頑張ったって駄目なんだよ。 まして短冊ごときで叶えてもらおうなんて、絶対無理。 織り姫なんて、彦星に1年振りに逢って、最初にすることが浮気のチェックだからね。 人の願いなんて、もう。 なんて」

「そーゆー駄目なことを言ってるときって、ほんとノリノリですよね」

「あー、まあ、それは認める。 でも、子供気ない願いも多かったよ。 金とか」

「ははは。 その金も、仕事して儲けるとかじゃなくて、宝くじだったりするんですよね」

「たぶんね。 そして、こいつの願いも叶わない」

「またそんな」

「ああ、でも金よりは麒麟の方が可愛らしいか」

「そうですよ。 子供らしくて良いじゃないですか」

「そっか。 じゃあ、諦めたらそこで終わりだよ?」

「安西先生ですか」

「いや、今はキューベーだったんだけど、キューベーは知らないよね?」

「知らないです。 何ですか、それ」

「いや、知らなくていい」

そんな馬鹿話をしながら iPhone を弄っていたら、保護フィルムに傷がついているのに気がついた。 で、新しいのを買おうと帰りに八王子のヨドバシカメラに寄ったら、 「iPad2 WiFi タイプ在庫あります」 の張り紙を発見。 昨日、買うつもりで金をおろしていたので、そのまま買ってしまったのだった。 64G の WiFi タイプ。

ところで、実際にキリンになりたいという願いがかなったら、きっと激しく後悔するんだろうな。 そしてキューベーに言われるのだ。

「僕はただ願いを叶えただけだよ。 感謝こそされても、責められる謂れは無いよ。 願いがどんな結果をもたらすか、あらかじめ考えておくのは、願う側の責任だからね」