2010 12 02

貴方のために吠えるんじゃないんだからね

寒い仕事を寒いマシン室でやる日々。 心と体の両方を満遍なく冷やされている状態。

「それ、いっそもう全部やってみたら?」

「犬も歩けば作戦ですか。 もうここまで来て、今更って感じなんですけど」

「でも、総当たりするのと、効率的な選抜処理を考えるのにかける時間と、同じぐらいになるんじゃないの?」

「それを言われると痛いです。 でも、ちょっとプライドが」

「それ、プライドが有るんじゃなくて、勇気が無いんじゃないの?」

「うわ、渡邊さんからそんな台詞を聞けるとは思いませんでしたよ」

「ふふん…そう言えば、犬って、諺で良い扱いされてないよね?」

「言われてみればそうですね。 犬も歩けばとか、むしろ良い方かも」

「そのくせ、犯罪捜査から癒しまで、犬に頼ってるんだよね」

「確かに。 犬を飼うのも、今じゃ番犬より子供の代わりだったりしますからね」

「犬から見たら、人間ってかなりのツンデレなのか」

「何を言い出すのかと思ったらそれですか。 さっきちょっと良いこと言ってたのに」

「でも、否定は出来ないだろ?」

「この流れを否定したいです」

「やたら高いドッグフードを買ってきて『これしか無かったんだから!仕方無かったんだからね!』とか」

「あはは…どんどん駄目な方向に進みますね」

「ところで、理想のツンデレ配分って、どの辺りなんだろ? 7ツン3デレ? 8ツン2デレ?」

「んー…やっぱりその辺りですかね。 意外に幅が狭いんですよね」

「こんな寒い中で仕事させる仕打ちは、9ツン1デレぐらいか」

「そうですね…って、デレってありましたっけ?」

「…」

「…」

何もしなくても寒いのに、余計なことを考えて更に寒くなるのだった。