ベランダから見る朝焼け。
お前が無駄に過ごした 「今日」 は、昨日死んだ誰かが死ぬほど生きたかった 「明日」 なんだ。
誰が言ったのかは知らないが、ちょっとグッとくる言葉だよな。 二人の人質が殺された後に見る朝焼けにそんなことを思うのは、ちょっとどうかって気もするけどさ。
ところで二人の人質は結局どちらも殺されてしまったのだが、メディアの扱いがずいぶん違う。 最初に捕まったのと、それを助けようとして騙されたのと、捕まった理由は確かに大きく違うのだが、それでも発信される情報量に違いがありすぎだろう。
そう思って 「湯川遥菜」 で検索してみると、こんなのが。
- 学生時代はいじめられっ子。
- 高校卒業後に父親のコネでミリタリーショップを開業。
- 3〜4年後に倒産。 借金を抱えて夜逃げ。
- 公園で路上生活。 借金は父親がアパートを売り払って返済。
- 自殺を図ってチンポを切断するが、妻に止められて一命を取り留める。
- 2年後にその妻が肺がんで死亡。
- 名前を「正行」から「遥菜」に変え、女性として生きることを決意。 日中戦争当時に「東洋のマタハリ」や「男装の麗人」の異名をとった日本軍スパイ、川島芳子の生まれ変わりを自称。
- 民間軍事会社を設立。
- ろくな訓練もせずにド素人のままシリアへ渡航。
- イスラム国に拘束される。
シリアに渡航してからイスラム国に拘束されるまでも。
- 自由シリア軍にスパイと疑われて拘束される。
- 後藤健二に誤解を解いてもらい解放されるも、帰国せず、そのまま自由シリア軍について前線へ。
- 同行していた自由シリア軍の兵士が止めるのも聞かずに車から離れ、戦闘に巻き込まれて、間違ってイスラム国の方に逃げて捕まる。
何かを間違い続けた人生って感じだな。 どこまで本当のことなのかは分からないが、この通りだとすれば報道したくないだろう。 これじゃ自業自得という反応しか出ないだろうから。
一瞬、いじめられっ子は関係無いのではないかと思ったのだが、虐められたことで力を求めるようになり、それでミリタリーに傾倒したって可能性もあるのか。 元々何かと間違ってばかりだから虐められたのか、虐められているうちにそうなってしまったのか、俺には分かるはずもないけどさ。
後藤君は後藤君で、ジャーナリストとしての姿ばかりが報道されて、よくある子供時代とかの過去の報道が無い。 で、検索してみたら、こっちはこっちで微妙なことになっていた。
- 法政大学卒業後、日立製作所の子会社に就職したが、3ヶ月で辞職。
- ボディビルジムでインストラクターをするが、金銭トラブルを起こして辞職。
- 風俗店を経営。
これまた、どこまで本当なのかは分からないが、勇敢なジャーナリストの過去に金銭トラブルや風俗店経営ってのは、報道したくないだろうな。 この流れだと、ジャーナリストとして紛争地帯に行くのも、そこで子供の写真を撮るのも、金に惹かれてのことと思われそうだし。
涙を誘う会見のつもりで連れてきた母親は、反原発教に嵌まってしまったちょっとアレな人で、離婚して以降は後藤君が再婚したことも知らないぐらい疎遠だったらしいし、揃いも揃って扱い難いのばかり。 まともなのは湯川君の父親ぐらいか。
そう言えば、湯川君の父親の 「息子が迷惑をかけてすみません」 というコメントは、日本人の俺には妥当に思えるのだが、外人にはとても奇妙に聞こえるらしい。 「息子が殺されたというのに、お前は何を言ってるんだ?」 と。
まあ、だからどうってこともないんだけどさ。 子供ができて、将来を夢見て、この子のためにと頑張ってきた結果がこれじゃあ親も報われないよなぁ。