シド・ミード

アーツ千代田3331でやっている シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019 を見てきた。

シド・ミード。 完全に演奏できてしまう名前。

なんてことはどうでもよくて、俺の中のシド・ミードは、ブレードランナーで評価を上げ、その上げた分をYAMATO 2520と∀ガンダムで全部下げてしまった人だ。 まあ元の評価がそこそこ高いので、上がって下がった結果もやっぱりそこそこ高いのだが。 トロンとか好きだったし。 それにYAMATO 2520も∀ガンダムも、シド・ミードが悪い訳じゃないんだよな。 悪いのは、話題性だけでシド・ミードに依頼した方だ。 シド・ミードがシド・ミードらしい仕事をしたからこその、あの結果なのだから。

で、展覧会だが、入場するまでが大変だった。

開場の少し前に着いたのだが、その時点でもう行列。 その行列が、開場して、館内の階段に誘導される。 末尾は5階6階まで続いていたらしいが、それでもまだ次々と人が来る。 俺は割と前の方に並んでいたので安心していたのだが、これが全然甘かった。 入場制限により一定時間毎に十人ぐらいを会場に入れるのだが、まず前売り券持参組が優先で入るのだ。 当日券をその場で買う組は後回し。 俺の後ろにいた人たちにどんどん抜かれて、会場に入るまで30分ぐらい待った。

けどまあ、待った甲斐はあった。

  1. PROGRESSIONS
  2. Memories Of The Future: Matsui Collection
  3. The Movie Art Of Syd Mead
  4. TYO SPECIAL

と、展示の構成は仕事の畑毎に見せるようになっているのだが、どこを見てもシド・ミード感で溢れかえっていた。

工業デザイナーとして仕事を始めたからか、彼の作品は基本的に綺麗。 機械はもちろん、人も、街も、自然すらも。

あらゆるものが起伏の少ない流線形で構成され、ある角度から見たときに直線になるような線がアクセントとして加えられる。 その結果が、小さな自動車から大きな建物まで相似形となる統一感。 その統一感は、機械や建造物だけではなく、都市の住民や街路樹にも及ぶ。

でもこれ、古い未来観なんだよな。 描き込みのレベルは全然違うが、まだ若かった藤子不二雄が描いたような未来。 ノスタルジックな。 「昔の人は、未来をこんな風に想像してたんだなぁ…」 なんて、つい思ってしまうような。 これはこれで好きなんだけど、でも古い。

そしてこの綺麗な未来を古臭くしてしまったのもシド・ミード。

映画 ブレードランナー で彼が見せた猥雑な街の汚れた機械が、それまでの彼の作品までひっくるめて過去のものにしてしまった。

ただ展覧会を通してみると、ブレードランナーの方が異色に見える。 多分シド・ミードの本質的な志向は綺麗な未来の綺麗な機械で、ブレードランナーの世界は監督の要望に応えた結果なのだろう。 ブレードランナーでの仕事についてのインタビュー映像が流れていたが、その中で本人は 「未来の自動車や機械を生活の中に溶け込ませることに苦労した」 などと答えていたし。

シド・ミード本人は、ブレードランナーが後のSF作品の世界を方向付けたことを、どう思っているのだろう。 自分の中では異色の作品に、それまでの自分の作品を否定されるのは、あんまり嬉しくないんじゃないかって気がするよ。 注目を集めて仕事は増えるけど、期待されるのはブレードランナーのようなものばかりって、まあ、クリエイターあるあるなんだろうけどさ。

YAMATO 2520や∀ガンダムは、宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダムとして見ると違和感しかないが、シド・ミード展でシド・ミードの作品として見る分には何の違和感も無い。 むしろこれらの方が、ブレードランナーよりもはるかにシド・ミードしてた。

オリジナルのガンダムやザクを描いたポスターも展示されていたが、こっちは酷いものだったな。 やっぱり日本のアニメには向いてないのかもしれない。

グッズ販売は稀に見る貧弱さだった。 売る気があるのか疑うレベル。 他の展覧会なら必ず置いてあるポストカードは一切無し。 ボロボロの画集と図録のサンプルがあるのみ。 写真撮影可の展示も結構多かったので、ポストカードは置いても売れないと判断したのだろうか。

でも写真もなぁ…。 自由に撮れるものがたくさんあるのは良いが、ほとんどの作品がガラスの向こうにあるので、照明が反射したり自分が映り込んだりで、なかなか綺麗に撮れないんだよな。 まあ、画集や図録を買えってことなんだろうけどさ。

未来の1

壁一面に展示された綺麗な未来の一端。 体のラインがきっちり出る服ばかりなのがアメリカン。 ブルマすら絶滅した日本には、永遠にやってこない未来でもある。

未来の2

同じく綺麗な未来の逆の端。 男は全員マッチョ。 なんか頭身がおかしいのもいるが、実はパワードスーツなのかもしれない。 未来だし。

ターンX

シド・ミードとは何の関係もないが、月光蝶というネーミングセンスが好き。

YAMATO 2520

ヤマトのような何か。

末広町駅

地下鉄東西線末広町駅への階段。 ほんのり漂うサイバーパンク感。