スーパーの入り口近くに、チョコレートが積み上げられている。 そう言えば、そろそろバレンタインか。 昼のパンを買うついでにチョコレートでも… なんて思いながらスーパーに入ったのに、目当てのチョコレートがその棚にあると、何となく買い辛かったりするのだな。 これがあと10日も続くのか。
「はぁ…」
「あからさまにため息か」
「上手く行かないんですよ、さっきからずっと」
「さっき、大体当りが付いたって言ってなかった?」
「そうなんですけど、そこ動かしても、デバッガだと死なないんですよ」
「実際に動かすと死ぬのに?」
「そうなんです。 もう嫌です」
「タイミングの問題なんじゃないの? ちょっと待ちを入れてみれば?」
「でも、大体この辺りってだけで、まだここって絞れてないんですよ」
「あー、なんだっけ、二階から目薬ってやつ?」
「それ、どうなんですか?」
「どうって?」
「もどかしいことの例えにしては、もどかしすぎると思いませんか?」
「そうか? それほどでもないような気がするけど」
「本当にそう思います?」
「うん。 なんか、やればできそうな気がするよ」
「じゃあ、ちょっと試してみましょう」
「は?」
「だから、二階から目薬を」
「目薬あるの?」
「目薬は持ってないので、水で」
……
「で、何で俺が下なんだ?」
「だって、できそうな気がする人ができても、感動が薄いじゃないですか」
「何を言ってるのか、意味が分からないんだけど」
「だから、きっとできないと思う私ができてこそ! ってことです」
「そんなもんか」
「いいから早く上を向いて目を開けてください! 目、細いです!」
「開けてるんだよ、これでも」
「全然駄目です。 それ、本当に目なんですか?」
「目なんだよ、 お前には信じられないかもしれないが」
「じゃあもういいです。 目は閉じて口を開けてください。 はい、あーん」
「何で俺がこんな目に… あー」
… ぽと …
「あれ? なにこれ甘い」
無駄を承知で、どんな渡され方がいいか考えてみた。 こんな、7ツン3デレぐらいの石原さとみを希望。