無料に群がる
多摩動物園は、今日と明日は無料開放なんだそうだ。 子供の日だからだろうか。 毎年やってるのかな。
近所だし、無料だし、折角だからと行ってみたら凄い人出だった。
入り口の近くで、子供に付けるタグを配っていた。 迷子用らしい。 親も大変だな。
迷子になるくらいの子供も多いが、もっと小さい、ベビーカーが必要な子供もたくさんいた。 そんな小さな子供に動物を見せたところで何の足しにもならないと思うのだが。 それに、人混みにベビーカーは激しく邪魔で、お互いに危険。 なんで連れてくるんだろうか。 動物と人混みの間でシートを広げて弁当を食べてるのも、俺にはちょっと理解できないな。
「多摩動物園に行ってきたよ、ほら」
「女同士で？」
「いいでしょ、女同士でも。 結構楽しかったよ」
「ふーん、そう言えば、俺は行ったことが無いかな」
「近所だと、反って行かなかったりするよね。 今度行ってみる？」
「いや、いいよ」
「あそこ、『TAMA ZOO』じゃなくて『TAMA ZOOLOGICAL PARK』なんだね。 ほら、ここ」
「え？ あぁ、本当だ。 直訳するなら『動物に分類されるものの公園』か」
「何でわざわざ『zoological park』なんてしたんだろ？」
「そりゃ『たまずー』だと東北弁みたいで恥ずかしいからじゃない？」
「あっ、また東北を馬鹿にした！」
会社に入ったばかりの頃の、そんな会話を思い出した。