宇野亞喜良

初台の東京オペラシティー・アートギャラリーで 宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO を見てきた。

宇野亞喜良の活動を時代的にもジャンル的にも網羅した、質でも量でも満足の展覧会だった。 構成はこんな感じ。

  1. プロローグ 名古屋時代
  2. グラフィックデザイナー 宇野亞喜良
  3. 企業広告
  4. アニメーション映画
  5. ポスター
  6. 絵本・児童書
  7. 版画集・作品集
  8. 新聞・雑誌
  9. 書籍
  10. 絵画・立体作品
  11. 舞台美術
  12. 近作・新作

俺が生まれた頃にはもうデザイナーとして活躍していた宇野亞喜良だが、子供の頃の俺はまるで興味がなかった。 というか知らなかった。 彼の作品は子供向けじゃないし、俺は良く言えば自然溢れる田舎暮らしだし、接点が無かったんだよな。

そんな俺が触れた最初の宇野亞喜良は、マックスファクターのポスター。 大学に入ってすぐだったと思う。 紀伊國屋だったか、大きな本屋で立ち読みした本の中で見つけて 「あ、なんか格好良い!」 と思ったのだ。 その本がなんだったか、もう忘れてしまったが。

そんなこんなで、今回の展覧会では企業広告とポスターが注目を集めていた。 俺の中で。

で、その広告とポスターだが、全般的に昭和の香り。 しかし令和の今に見ると、むしろ新しく感じる。 若干シュールレアリズムの影響を感じるのだが、どうなんだろうね。 敬虔なカトリックが見たらブチ切れそうなのもあった。 あれ、いいのか?

演劇のポスターに出てくる女が誰かに似てると思いながら見ていたのだが、途中で越路吹雪だと判明。 まあ、そのまんま、越路吹雪を描いた作品があったからなのだが。 そういえば昔は和田アキ子も、あんなメイクをしてあんな衣装を着てたよな。 でも全体を通して、越路吹雪感はあっても和田アキ子感は無い。 皆無。 俺がテレビで見ているのは和田アキ子のはずなのだが… って、どうでもいいか。

CDやレコードのカバーアートも多数あって、俺が持っているのも幾つかあった。 知らないうちに手にしていたのか。

絵本はどうなんだろう。 大人が見るにはいいが、子供には向いてないんじゃないかな。

会場内は、ほぼ全点が写真撮影可。 しかし写真を撮っている人は少なかったように思う。 伊藤潤二展では、皆、凄い勢いで写真を撮っていたのだが。 この違いは何だろうと思ったが、展示してる環境の違いか。 ほとんどの作品がガラスのカバーの中にあるのは同じだが、こっちは写り込みが厳しいのだ。 カメラを構えている自分がうっすら写ったポスターの写真とか、見たくないよな。

以下、展示品を撮った中から、写り込みが比較的少ないものをいくつか。

マックスファクター

マックスファクターの広告群。

今見ても格好良い。 イラストのポスターは更に良い感じなのだが、そっちは写り込みが…

人魚姫

劇団:人形の家 第一回公演 人魚姫

アフロの人魚が斬新。 右は魚人。 人魚は魚だが魚人は人。 間違えないように。

愛奴の系譜

愛奴の系譜

エッシャー風味の越路吹雪風味。 本の装丁だそうだが、この本は読んだことがない。 読んでみたいが、もう売ってない模様。

ポスター群

ポスター群。 見たことあるものが多数。

芝居のポスターと比べると、全体的に軽い感じがする。 今一つやる気が出ない仕事だったのだろうか。

オブジェ

東京オペラシティーの入り口にあるオブジェ。 宇野亞喜良とは関係無いはず。

そうそう、同時開催の展覧会が二つあった。

どちらも、宇野亞喜良展とは方向性がまるで違う。 宇野亞喜良展を見にきた人にこれを見せても、あんまり響かないだろう。 まあ、何かテーマを揃えたつもりも無いのだろうが。

あと、展覧会の公式サイトは、どうにかならなかったのか。

会期は4/11からなので、開催してもうすぐ一ヶ月。 なのに公式サイトは、コンテンツの一部が未だ準備中のまま。 駄目じゃん。 開催前に準備完了させとけよ。

しかし何故こうなったのかは、ちょっと気になる。