2014 12 05

「年末年始は、こっちは休みなんですね」

「年始も？ って、ああ、休みだね。 じゃあ俺も休み」

「今年は勝ち組じゃないですか。 会社としては、年末は土曜日も半日だけど出勤日で、年始は5日からですよ」

「いや、年始の一日は成人の日で相殺で、年末の半日は、えーと、天皇誕生日だっけ？ あれの半日で相殺されて、結局半日負けてるだろ」

「あ、確かに」

「年間に祝日祭日がどれだけあると思ってるんだよ。 それが全部無しって、もう圧倒的に負け組じゃん」

「まあ、私もほとんど出てますけどね。 そして高時間外の検診」

「あぁ、そういえば昨日のメールも送信時刻が凄い時間になってたね。 早く帰れよ」

「帰れたら帰ってますよ」

「そりゃそうか。 でも、会社に来ない人のせいで帰れないって、なんか納得いかないよね。 俺らって、やっぱブラックなのかな？」

「ホワイトじゃないのは確かですよね」

「だよね。 あ、話は変わるけど、昨日、何かで見たんだけど、渡辺ってランキング9位だったんだよ」

「ランキングって、名字の人数ですか？」

「そう。 これ、20年ぐらい前に見た時は確か5位だったんだよね」

「随分変わりましたね」

「そうなんだよ。 普通、って言うのは絶滅危惧姓じゃなければってことなんだけど、だいたい男女も世代も同じ比率でいるだろ？ だから、死ぬとか、子供が生まれるとか、結婚するとか、色々ある増減はバランスして、そう変わったりしないと思うんだよ」

「そうですね。 そんな気がします」

「なのに、わずか20年で5位から9位って、ひょっとして渡辺ってモテない一族なんじゃないかってさ」

「あー… 一族でモテませんか」

「そう、モテない一族。 或いはブラック」

「でもブラックな一族は何かちょっとかっこいいですね」

「そうなんだよ。 でも、モテないけどね。 ブラックがかっこいいと思っちゃうようなオタセンスだからモテないのかな？」

「あれ？ ちょっと、なんかブーメランっぽいものをパスするのは止めて下さいよ」