電話がかかってきた。
「はい」
「もしもし、私、ドラゴンマンションのご案内でお電話したものですが、お父様かお母様はご在宅でしょうか?」
「は?」
「あの、お父様かお母様は」
「いや、そうじゃなくて、何マンションです?」
「え? ドラゴンマンションですが」
「ドラゴン?」
「あの、ご主人様ですか?」
「くっくっくっ…ド…ドラゴンマンションですか?」
「はい、そうですが、あの、何か?」
「だって、ドラゴンって、ねえ、うくくく」
「ドラゴンマンションだと、何かまずいんですか?」
「いや、まずくは無いけど、ドラゴンて、う、うははは」
「じゃあ何だったらいいんですか」
「ははは、あ、いや、別に何でもいいけど、ドラゴンは無いでしょう、ドラゴンは」
「そんなに可笑しいですか、ドラゴンって」
「いや、でも、ドラゴンでしょ?」
「ドラゴンマンションですけど」
「うははは」
「だから、何だったらいいんですか」
「いや、でもドラゴンって、くくく、あ、で、ドラゴンが何ですか?」
「あ、いまマンションをお勧めしているんですが、ご興味はございませんでしょうか?」
「ありません」
すまん。 ちょっとツボにはまってしまった。