昼飯時。 トレイを持ってレジの行列に並んでいたら、後ろで、俺より少し年上らしい二人が話していた。
「川島英五が死んだだろ?」
「誰?」
「酒と涙と男と女の」
「あーあー、ニュースでやってたね」
「俺、あの歌好きだったから、けっこうショックでさぁ」
「ま、みんな死んでいくんだよ。 早いか短いかの違いでさ」
「そうなんだよなぁ…」
早いか短いかの違いって何?
「女に暴力をふるうなんて最低!」 という台詞を、時々耳にする。 たいていの場合、口喧嘩の末に殴る男に対して使われる。 一般的に暴力をふるうことに対してではなく、わざわざ 「女に」 と特定するのは、腕力では男の有利がほぼ確定しているからだろう。 弱い者苛めだから最低だという理屈だ。 しかし、最近の脳研究でも言われているように、口喧嘩では女の方が強い。 女が、腕力ではなく話力(?)で闘えと男に言うのは、ガンマンに向かって 「銃は卑怯だ、刀で闘え」 と言うサムライのようなものなのだ。 自分が有利な、つまり弱い者苛め的な状況に持ち込もうとしているのだな。 ということで、 「女に暴力をふるうなんて最低!と男に言うなんて最低!」 となるのである。
無い胸は揺れない。