2001 05 07

詭弁の匂い

昼飯時。 トレイを持ってレジの行列に並んでいたら、後ろで、俺より少し年上らしい二人が話していた。

「川島英五が死んだだろ?」

「誰?」

「酒と涙と男と女の」

「あーあー、ニュースでやってたね」

「俺、あの歌好きだったから、けっこうショックでさぁ」

「ま、みんな死んでいくんだよ。 早いか短いかの違いでさ」

「そうなんだよなぁ…」

早いか短いかの違いって何?

「女に暴力をふるうなんて最低!」 という台詞を、時々耳にする。 たいていの場合、口喧嘩の末に殴る男に対して使われる。 一般的に暴力をふるうことに対してではなく、わざわざ 「女に」 と特定するのは、腕力では男の有利がほぼ確定しているからだろう。 弱い者苛めだから最低だという理屈だ。 しかし、最近の脳研究でも言われているように、口喧嘩では女の方が強い。 女が、腕力ではなく話力(?)で闘えと男に言うのは、ガンマンに向かって 「銃は卑怯だ、刀で闘え」 と言うサムライのようなものなのだ。 自分が有利な、つまり弱い者苛め的な状況に持ち込もうとしているのだな。 ということで、 「女に暴力をふるうなんて最低!と男に言うなんて最低!」 となるのである。

無い胸は揺れない。