2002 06 07

忙しい

このところ毎日のように、家に帰るのが深夜。 くそ忙しい。 そんな数日のうちにあったこと。

その1

夜の新宿、京王線ホーム。 停まっている電車がそこそこ満員だったので、次の電車を待とうとドアの前に立った。 電車の中、ちょうどドアの前で俺に背を向けていた男が、体の向きを変えた。 その横顔に、思わず目を奪われた。 下唇が4cm程に膨れて突き出て、そこからから喉にかけても赤紫に膨れている。 イカリヤチョウスケのまねをする人が極端にデフォルメした唇をつけたりするが、あれをもっと強調した感じ。 上唇から上は普通の顔。 男は、突き出た下唇を右手の指で支えるようにしていた。 唇の重さの為に、手で支えていないと口が開いてしまうのだろうか。 それとも隠したいという気持ちの現れだろうか。 隠したいのだとすれば、それは単に見られたくないからなのか。 それとも、その部分を目にした人の心に否応無しに生ずるある種の葛藤を思いやって、なるべく見せないでおいてあげようという優しさからか。 そこそこ満員の車内なのに、男が体の向きを変えるたびに、男の正面に少し空間ができた。

その2

夕方の浜松町。 窓の外をサイレンが通り過ぎる。 ちょうど外出から帰ってきた人が、興奮した様子で周りの人に話しているのが聞こえてくる。

今、凄いことになってるよ。 ニューヨーク警察みたい。 警察がいっぱい来て、ビルを取り囲んでて。 強盗が立てこもってるらしいんだよ。 すぐそこのビルが、ほんとニューヨーク警察みたいに。 この窓から見えるかな。 ほら、あそこ。 人だかりがしてるだろ。 あのビルの横の…

何人かが窓から覗いた後、さらに現場に見物に出かけていた。 それは、忙しくはあっても平穏な毎日の中の大事件なんだろうが、ニュースでは全く扱われなかったようだ。 その翌日、 「昨日の、ニュースで全然やってなかったね」 と言うときの顔が、少し残念そうだった。 それにしても、何だよ 「ニューヨーク警察」 って。

その3

隣のスーパーで買い物をして、レジに並んだときのこと。 俺の前には、大学生らしい男。 その前に、50歳ぐらいのおばさん。 おばさんが足下に買い物籠を置いて前の人との距離を少し長めに取っているため、行列がそこで間延びして、通路がだいぶ狭くなっていた。 カートを押して通りかかった母子が、俺の後ろを窮屈そうに通り過ぎる。 ちょうどそのときに後ろを振り向いた大学生が、狭くなっているのに気がついたのだろう。 前に立つおばさんに、 「もっと前に詰めてくださいよ」 と言った。 おばさんは、振り返って大学生の顔をちらっと見ると、黙って籠を持ち上げて前に進みレジの台に置いた。 ちょうどおばさんの番になっていた。

店を出ると、俺の前をさっきのおばさんが歩いていた。 どうやら夫婦で買い物に来て、夫は外で待っていたらしい。 その夫に、おばさんが喋っていた。

さっきお勘定のところで並んでたら、後ろにいた大学生ぐらいのTシャツ着た男から、 「もっと前に詰めろ」 って言われたのよ。 ちょうど私の順番だったときに、私がゆっくりしてたのが気に入らなかったみたい。 最近の若い子って、すぐ切れるって言うでしょ? 文句言ったら何されるか判らないから黙ってたけど、ちょっとぐらい待てないのかしらね。 あそこでぎりぎり詰めて並んだって、早く終わるわけでもなんでもないのに…

ま、そんなもんだろう。 何故注意されたかに思いつく理由が、その人を表すのだ。 ついでに言えば、このおばさんは、注意されたことそのものに腹が立つのだな。 明日、友人のこのことを喋るときは、大学生はきっと 「汚いTシャツのちゃらちゃらした男」 になるのだろう。

その4

サッカー。 日本はベルギーと 2-2 の引き分け。

紫陽花

ヤマアジサイ

山紫陽花。 一般に紫陽花といったときに思い浮かべる丸々したのが手毬型、こういったタイプを額縁型というのだそうだ。 で、額縁となっている花は実は飾りで、本来の花は内側の小さな粒々なんだとか。

ヤエカシワバアジサイ

飾り花の花弁が重なり合っているから八重、葉が柏のようだから柏葉、見た目そのままが名前になっている八重柏葉紫陽花。 しかし、最大の特徴は円錐形に花がついているところだと思うんだけどな。 これ、滅多に見ないと思ったら、外来品種なんだそうだ。

ヒメアジサイ

紫陽花というと、やっぱりこういう手毬型なんだよな。 これはたぶんヒメアジサイ。

ミヤマヤエムラサキ

飾り花が複雑なのが特徴のミヤマヤエムラサキ。 この一つだけを見ると、紫陽花とは思えないな。

ハナビ?

ミヤマヤエムラサキと似ているが、よく見ると微妙に違う白い花。 「ハナビ」 という札が立ててあったが、それがこの花の名前だろうか。

白い紫陽花

花弁が丸っぽく内側に湾曲しているのが珍しい。 しかしまあ、紫陽花にもいろいろあるもんだな。