2001 09 07

数字

新型AIBOはコジコジか?

仕事帰りの電車。 小学校の3年生ぐらいの女の子を連れた母親が、その姉らしい人と話をしていた。 学校だけでは勉強が不安なので、子供を塾に入れようと思っているらしい。

「昔と比べると、なんかもう時間がすごい少なくなってるのね」

「今度また少なくなるんでしょ? 土曜も休みになるんだっけ」

「そう。 内容もどんどん簡単になるみたい。 円周率は 3.14 じゃなくて 3 とか」

「ちゃんと 3.14 て教えればいいのにね。 …あれ? 円周率って何に使うんだっけ?」

「え? えーと… ほら、半径×半径×3.14」

こーゆー人たちを見ていると、円周率が 「だいたい 3」 で何の問題もないことがよく判る。 そもそも 3.14 だってだいたいの値なのだ。 「だいたい 3」 と 「だいたい 3.14」 と、取り立てて文句を言うほどの違いは無いだろう。 3.14って教えるなと言ってるわけでもないし、少数の掛け算のトレーニングなら他でいくらでもできるし、実際に数値計算で使うには 3.14 じゃ全然足りないし、小学生に教えるなら 「だいたい 3」 で十分だよな。 って、問題の本質は円周率の桁数じゃないんだけどさ。

フジテレビで前後編に分けて放送したタイタニックの視聴率が、前編 34.5% で、後編は 35.4% だったそうだ。 これに対して、編成局長の亀山千広という人が、こんなことを言っていたのだとか。

ビデオやDVDも爆発的に売れているにもかかわらず、前後編合わせて 70% の視聴率を獲得したのは、やはりソフトが持つ本来の力のなせる業だと思います。 そういう意味で今回の高視聴率は、ソフト作りに取り組んでいる我々に、大きな刺激と勇気を与えてくれました。

前編がずっと 34.5% の視聴率だとすると、前編前半の視聴率が 34.5%、後半も同じく 34.5%。 前編前半と後半を合わせると、前編だけで 69% の視聴率? とまぁこんな風に、視聴率を前後編で合わせることには何の意味も無い。 亀山君はいったい何を言ってるんだろうと思ったが、よくよく考えてみると、場合によってはこれが成り立つのだな。 「前後編合わせて 70% の視聴率」 を、百歩譲って 「70% の人が前後編の放送のどちらかだけでも見た」 と解釈すると、前編を見た 34.5% の人達と後編を見た 35.4% の人達に重複が全く無い場合に、この数字を足して 「70% の人がタイタニックを見た」 と言うことができる。 つまり、 「前編を見た人は、誰一人として後編を見なかった」 ということだ。 亀山君は、いったいどんな刺激と勇気を得たのだろうか。 タイタニックを見なかった俺には、よく判らない。

出過ぎた麦茶が苦い。