「貧しくて食べられない人もいるんだから、残さずちゃんと食べなさい。 なんて言うじゃん?」
「言うね」
「ありゃどーゆー理屈?」
「どうって?」
「貧しくて食えない人がいるのと、自分が残さず食うことと、何の関係も無いだろ?」
「あー、まあ言われてみりゃそうかもね」
「それで思ったんだけどさぁ」
「なに?」
「あの台詞を、本当に貧しくて食えない人の前で言うってのは、どうなんだろうね」
「んー」
「貧しくて食えない人はさぁ、残さず食えなんていわないよな」
「まあ、たくさん残して、俺にくれって言うだろうね」
「ドラエモンのどこでもドアのすげーいい使い方を思いついたんだよ」
「またくだらないことだろ」
「いや、くだるって。 しかも皆が満足するんだな、これが」
「なに?」
「この昼飯の残りってさぁ、このまま流れてゴミ箱行きだろ?」
「だろうね」
「だから、このベルトコンベアを、どこでもドアで、どっかの難民キャンプにつなぐのさ」
「なんだよそれ」
「残飯処理が食糧支援を兼ねるんだよ。 いい感じだろ?」
「そうかぁ?」
「俺たちいつも半分ぐらい残してるじゃんか。 きっと喜ばれるぞ」
「そうかなぁ」
名を取るか実を取るかってやつね。