2015 04 08

ミジンコ

雪

写真だとよくわからないが、雪が降っている。 桜の季節だというのに。

桜といえば染井吉野。 その染井吉野がいわゆるクローンだということはよく知られているが、実はミジンコもそうらしいという話。 ITmediaニュースから。

ミジンコは大きさ数ミリの甲殻類。 雌だけで繁殖する 「単為生殖」 を行うが、環境が悪化すると雄を生み、有性生殖を行って、乾燥にも耐える 「休眠卵」 を産む。

東北大学大学院生命科学研究科・占部城太郎教授の研究チームは、国内300カ所以上のため池や湖で調査し、採集したミジンコのミトコンドリアDNAと細胞核DNAを解析した。

その結果、母親から子へほぼそのまま受け継ぐミトコンドリアDNAには4つのタイプが見つかり、それぞれ北米のミジンコとよく似ていた。 また細胞核DNAからは、日本には生息していない北米産ミジンコとの雑種であることも分かった。

細胞核DNAの解析からは、核遺伝子型が1種類しかないことも分かった。 雄と雌が有性生殖を行えば、雄由来のDNAと雌由来のDNAを組み合わせたさまざまな核遺伝子型があるはずだが、それが1種類だったということは、日本のミジンコは有性生殖をしたことがない 「絶対単為生殖」 型だということになる。 実際に飼育実験では有性生殖なしでも休眠卵を産むことが確かめられたという。

つまり日本のミジンコは、

  1. 遺伝的に北米産ミジンコと同じ
  2. 北米産ミジンコとの雑種だが、国内で有性生殖をした形跡がない

ことから、日本固有種ではなく北米からの外来種と結論付けた。 日本の池に住むミジンコは、北米から来た4個体の雌から単為生殖だけで増え続けたクローンということになる。

ミトコンドリアDNAの変化を調べて時間的な手がかりを推定する手法(分子時計)によると、4タイプのうち西日本で採取された2タイプはごく近年のものだと分かった。 一方、日本に広く分布する残り2タイプは、700~3000年前に日本に来たらしいことが推定された。

最近やってきた2タイプについては外来魚の放流などが考えられるが、ずっと以前に住み着いた2タイプの侵入ルートは謎だ。 渡り鳥に付着していたのだとしら、定期的に侵入することでもっと遺伝的に多様になっているはずだという。

有性生殖には、遺伝子組み換えにより変化し続けることで寄生などに対抗するメリットがあるという説(赤の女王仮説)がある。 絶対単為生殖型の生物はクローン(コピー)であり、遺伝子組み換えがないため新たな病気などに弱く、ミジンコでは約1000年で集団が寿命を迎えるという計算もあるという。 日本のミジンコは雄を受け入れられないため、 「もし新たな移入個体がなければ、ミジンコは日本からやがて消えてしまうことになる」 という。

日本のミジンコって、およそ1000年の昔から雌だけでここまで来たってことか。 遥か古の北米大陸から、百合の楽園を求めて旅立った4人の乙女。 長い旅路の果て、ついに辿り着いた地で処女懐胎を繰り返し… みたいな。 単にそういう生き物ってだけのことなんだろうけど、人に擬えると、凄いことのような… そうでもないような…。

しかし、ほぼ同じ内容を表現しているのに、 「ミジンコはみな処女懐胎」 と 「処女懐胎はミジンコ並み」 とで、どうしてこうも印象が違うのだろう。 意図的な誤訳が定着したマリアの処女懐胎だが、当時の宗教学者にミジンコの知識があったら、それでも処女懐胎なんて言っただろうか。 まあ、言うんだろうな。

ところで生物学だが、最近では遺伝子レベルの調査ができるようになっていろいろと精度が上がってきたけど、やっぱりまだまだ緩いんだな。 700〜3000年前と推定 って、このデタラメな幅の広さを推定って言っちゃ駄目だろ。 はっきりしている部分の説明が後光になって誤魔化されそうだけど、この推定については 「1、2、3、たくさん」 と同じレベルじゃないか。

そうそう、言い方で思い出した、ちょっと前の話。

「ちょっと前、帰りのバスで、俺と同じかちょっと年上ぐらいのおっさんが、多分後輩に、部品の組み合わせについて語ってたんだよ」

「はあ」

「せっかくの良い部品も、組み合わせや調整で良くも悪くもなるとか、まあそりゃそうだよねって話をさ」

「あー、そーゆーのですか」

「そう、そーゆーの。 それで例えが、シャア専用ザクだったんだよ。 チューニング次第で性能が3倍とか」

「あれって他のザクと同じ部品なんでしたっけ?」

「チューニングって言ってたから、部品は同じなんじゃない? 違いそうだけど」

「違いそうですよね。 ていうか絶対違いますよ」

「だよね。 要するに、その例えじゃ伝わらないんだよね」

「伝わらないですね」

「それで、じゃあ何だったら伝わるかと考えたんだけどさ。 ザク専用シャアってどう?」

「は?」

「だからほら、シャアと専用とザクって部品は同じで、組み方だけが違うじゃん。 シャア専用ザクとザク専用シャアじゃ受ける印象がまるで違うだろ?」

「そりゃ確かに違いますけど、違いすぎて逆に伝わらなくないですか?」

「あれ? そう言えばこれって普通のザクはショボいとかシャアは凄いという共通認識が無いと成り立たないんだけど、大丈夫?」

「私はまだ大丈夫ですよ。 再放送でしたけど、見てましたから」

そうか、再放送か。 そりゃそうだよな。

ガンダムは今でもまだ新作が作られているらしいが、そこにはきっとザクはいないだろう。 おっさんの話を聞きながら思いついた 「ザク専用シャア」 は、我ながら良い例だと思ったのだが、一回り下ぐらいがぎりぎりで、ゆとりにはきっと通じない。 というか、ゆとりの悩みは、職場のおっさんがガンダムの話ばかりでついていけないことだったりするし。

性能測定の暇潰しにそんな話をしていたのに、シャアもザクも古過ぎて、もう喩えとしてはどうやったところで性能が出ないこと、そしてそんな喩えしか出てこない自分の性能も相当劣化していることに気付いたのだった。 まあ、測定中に暇潰しが必要な性能ってところから、いったいどうなんだって話だけどさ。 人も、プログラムも。

さて、シャア専用ザクとザク専用シャアはもう通じないとして、じゃあ今なら何が良いんだろか。

錦織専用ラケット と ラケット専用錦織

言ってる俺にも何が言いたいのかわからない。

原幹恵専用水着 と 水着専用原幹恵

なんだかどっちも良い感じで、これはこれで伝わらない。 水着専用なんて、グラビアアイドルにはむしろ褒め言葉のような気もするし。 問題は、原幹恵がちょっと古いってことか。

個人じゃなくて法人ならどうだろう。

docomo専用iPhone と iPhone専用docomo

これは良いかもしれないな。

しかし、こうしていろいろ組み合わせてひっくり返していると、それ自体が楽しくなってくるんだよな。 何でこの道に踏み込んだのかとかもうどうでもよくなってきた。