ほんのり恐い話
随分前に見てほんのり怖いと思った話を、先日また見かけたのだが、やっぱりほんのり怖いと思った。 これも何かの縁な気がするので、ここに残しておく。
10年前の話。
私は中学のとき不登校で、あまり家にも帰ってなかった。 そのとき知り合った年上の社会人の彼氏の家にほとんどいて、卒業式も出ないまま中学を卒業。
卒業して1ヵ月妊娠が発覚。 2人で育てると決め、1度実家に帰ってる間に彼氏が薬物で逮捕された。 (産むことは両親も賛成してくれていた)
混乱したまま慌ただしく女の子出産。 そのまま彼とは手紙のやり取りはしたものの結婚は難しいと思って1人で育てると決意。
アパート借りて子供と2人、仕事に子育てと忙しい毎日を過ごしてた。 この頃のことは本当に鮮明に覚えてる。 子供が2歳になり、誕生日を祝ったことも覚えてる。
2歳になった年の冬、朝起きると子供がいなくてパニックになって警察に連絡した。
その間に両親に連絡したら、何言ってるの? 子供なんていないでしょ?
混乱してるところに警察到着。
子供がいなくなった! とパニックになってるところに両親到着して、子供なんていない! と言い張る。
携帯の写真を見せようと携帯の写真フォルダを開いても子供の写真なんて1枚もなかった。 それどころか子供のために買ったはずのものが何一つ残ってなかった。
この日はパニックになりすぎてよく覚えてないけど、とにかく子供がいない! どうしよう! って叫んでた。 誰かに嵌められたんだと思った。
それから何日経っても子供は帰ってこなくて、私は両親に病院に連れていかれて家に連れ戻された。 私の妄想の中の世界で片付けられた。
未だに子供を産んだときの記憶もあるし、子供と遊んだ記憶もある。 写真だってたくさん撮ったはず。 でも戸籍を確認してもいなかった。 産院にも問い合せた。 母子手帳もない。 子供を預けてたはずの保育園は存在すらしなかった。 毎日自転車で送り迎えしてたのに。
それから毎年子供の誕生日はお祝いしてる。 今年小学校を卒業する。
未だに自分でも理解が出来ない。 こんなことって本当にあるんですか。 私にとっては現実だったはずなのに。
今は普通の生活をしてますが、受け入れるのにかなりの時間がかかりました。
書いてみるとあんまり怖くないですね。
ちなみに書き忘れましたが両親の話では妊娠もしてないし、逮捕されたはずの当時の彼氏もいませんでした。 両親にも会わせたことがあるし、逮捕されたときも2度と付き合うなと言われたので知らないはずがないです。
もしかして私も薬物をやってて (やってたつもりはないですが) おかしくなったのかとも思ったんですが、それもなさそうです。
それ以外の友人関係や両親は私の知ってるままで、何も変わりありません。
違う世界へ来てしまったとしたら、娘が元気でいてくれることを願っています。
その当時働いていた飲食店は娘がいなくなった日から行っておらず、母親が連絡し、そのまま辞めてしまいました。
もちろん子供の話をしたことはあります。 だいぶ経ってから自分なりに痕跡を探そうと元職場で仲がよかった人や、出産祝いもくれた学生時代の友人達にも聞きましたが、誰も私に子供がいたことを知る人はいませんでした。
娘がいなくなった当時は、何度も病院に連れていかれ、頭のおかしい人扱いをされたため、私は正常だと理解してもらうために冷静に話すように心がけていました。
両親にも、あまり他言しないように言われ (たぶん周りから変に思われたくなかったんでしょうね) その頃の友人達とはもう誰とも繋がっていません。
単純に怖かったです。 自分がおかしいのか? と考えてみても、陣痛の痛みも覚えてるし、陣痛中に何故か出てきたご飯のメニューも覚えてるし、出産で人工呼吸を付けられたことや、出産後に娘を抱いたこと、勝手にトイレに行って助産師さんに怒られたことも鮮明に覚えてます。
出産した病院に記録を見てもらおうと行ったときも、待合室も外観も知ってるところだし、出生届を出しに行ったことも、母子の手当の申請に行ったことも覚えています。
覚えてることはノートに書いて鍵をかけて保管してます。 この記憶を忘れてしまわないように。
今は1人で細々と暮らしてます。 このことは両親以外は誰も知りません。
初めて人に話せて少しスッキリしました。 これで失礼します。
オリジナルから、一部の句読点と改行を変更。
病院に行ったなら、きっと統合失調症にされれしまうのだろう。 そうラベル付けされた人達の似たような話を、何度か聞いたことがある。
この人が統合失調症だったとすると、少なくとも3年分ぐらいの偽りの記憶があることになるのだが、偽りの記憶がこの人の中で作られるのに要した時間は、きっともっと短いのだ。 一瞬とまではいかなくても、かかっても数分程度じゃないか。 夢の中の数年分が、現実には数秒のレム睡眠だったりするし。
恐ろしいのは、自分もそうなってしまうかもしれないってこと。 例えば今こうして書いている日記が全て消えてしまったり、全く覚えのない内容に変わってしまうのだ。 こう、パチンとスイッチを切り替えるように。
そうなってしまったら、何ができるだろう。
とりあえず自分の記憶が正しい証拠を探すだろうが、周囲の人からは、記憶が間違っている証拠を提示されるだろう。 しかし間違っている証拠をどれだけ積み重ねられても、きっと納得しないしできない。 だって自分の記憶こそが事実なのだから。
できるのは、折り合いをつけることだけか。
だったら、並行世界に迷い込んでしまったとか、並行世界の自分と入れ替わったとか、違う意味で現実離れしたと思う方が健全じゃないかって気がする。

ベランダの柚子に花が咲いた。 このまま実ってほしい。
数年前にも蕾ができたのだが、開く前に強風で落ちてしまったんだよな。
という記憶は正しいのだろうか。