雨が多い時期なのに水無月と言うのは、雨が多く降るために天に水が無くなると考えるから。 と、聞いたことがある。 気象現象として正しいかどうかは別にして、なんかすっきりと納得できた。
七夕だというのに台風。 天人にはむしろ喜ばしい状況なのかもしれないな。
保育園、幼稚園、小学校低学年。 七夕となると、用意された(させられた)竹に、願い事を書いた短冊をぶらさげる、なんてことをやらされた。 俺は何を書いたんだったかな。 何も思いつかなくて困った記憶はあるのだが。
買い物に行った。 何か果物が食べたかったのだが、どれも今一なんだよなぁ…と、結局果物は止めてアイスクリームを買った。 店を出た帰り道。 前を、俺と同じぐらいのお父さんと、小さい娘が、手を繋いで歩いていた。
「ねー、おとーさん。 つりだおが欲しいって言ってたでしょ?」
「うん」
「学校でね、七夕の紙にね、つりだおって書いといたよ。 おとーさんの」
「そうか。 ありがとな」
「おかーさんには内緒だよ」
「うん、内緒だ」
娘を見るおとーさんの横顔が、すごく嬉しそうだった。