いきなりフロア中からヒューヒューピルピルと鳴り響く。 見れば自分のもブルブル震えている。 ああ、地震か。 これだけ一斉に鳴るのも久しぶりだな。 今度はどこなんだろう。
なんて、何の危機感も無くのんびり仕事をして、切りが良いところで地震情報を見ようとしたら全く繋がらない。 アクセスが集中しているんだろう。 じゃあニュースサイトでとあっちこっち見たが、特に大きな地震の情報は無い。 で、気象庁の地震情報を見たら、奈良で起きた震度1で地震速報を送信したとあって、なんだ訓練だったのかと興味を無くしたのだった。
でもこれ、訓練じゃなくて誤報だったんだね。 関西方面ではほとんどの電車が運転見合わせとかで、ニュースでは京都駅の大混雑の様子が流れていた。
たまに会社から災害時の緊急連絡網の確認なんてメールが来たりするので、その流れでこれも訓練かと思ったのだが、考えてみれば、全国規模で何の前触れも無しに訓練は無いよな。 というか、会社のもきっと事前に訓練するからって連絡が来てるのを、俺が読み飛ばしてるだけなんだろうけど。 そう言えば、訓練のメールが何度も来てることに気付かないまま放置してて、結局電話がかかってきてようやく気付いたこともあったな。 なんか色々すみません。
誤報の原因は、大規模な地震と誤認してしまうような配置にあるセンサーが拾ったノイズだそうだ。
予想が過大になった原因は、和歌山県北部で実際に起きたマグニチュード(M)2.3の地震と、三重県南東沖に設置している海底地震計のノイズ異常が重なったことだ。 午後4時56分ごろ、和歌山県北部で地震が発生したのとほぼ同時刻、海底地震計の1つで、常時観測していたノイズ約2秒弱途切れた。
システムは、ノイズが途切れた後、再び検知したノイズを地震の揺れだと誤って観測し、和歌山県北部の揺れと同じ地震が原因だと判断。 「大きな地震が原因で、和歌山県北部と三重県南東沖でほぼ同時に揺れた」と解析し、奈良県でM7.8・最大震度7の地震が起きたと「過大な推計」(橋田部長)をしてしまった。
現在は、この地震計を緊急地震速報に使う地震計から外している。 ノイズが途切れた原因は調査中。 この地震計では、同日午前3時ごろから断続的にノイズが途切れており、機器の故障や通信回線の異常などが考えられるという。 再発防止策として、地震計に異常があった場合、即座にその地震計を緊急地震速報用から外す運用を徹底することを挙げた。
記事によると、過去にはプログラムのバグで地震を過大評価したこともあったんだそうだ。 今回も、まずはプログラムが疑われたんだろうか。
世の中全般に言える傾向なのかどうかは知らないが、少なくとも俺の知ってる範囲では、ハード屋って問題がハードにあると認めない。 とりあえずソフトのせいにして、ハードに問題があるという証拠をソフト側から差し出せ、その証拠がどうにも否定し様が無いものだったら認めてやらなくもないって態度。 あれは何だろう。 修正はたいていハードの方が大変なので、守りたい気持ちがソフト屋よりもずっと強かったりするのだろうか。 まあ実際のところ、問題の原因はほとんどの場合はソフト側だったりするのだが。
ところで、フロア中のほとんどの携帯が地震警報を合唱する勢いだったのだが、中には沈黙を守るものもいたらしい。 俺の前の席の人のiPhoneも、ピクリともしなかったんだそうだ。
「なんで私のは鳴らないんですかね。 iPhoneだからですかね」
「いや、俺のiPhoneはちゃんと鳴ってましたよ」
「え、じゃあ私だけですか? えー…」
通知の設定で緊急速報をオフにしてるんじゃないかな。 で、そんな設定項目があったことすら忘却の彼方。
まあ、自分の携帯に緊急速報が来るか来ないかなんて、大した問題じゃないよな。 避難すべきレベルのものなら通知の有無に関係無く自分で判断できるだろうし。 と言うか、そんなレベルだと通知を確認したときにはもう手遅れだったりするし。 緊急速報が来ないことの問題を敢えて挙げるなら、周りがガンガン鳴ってるのに自分のだけが沈黙だと、何となく負けた感じがするってことか。