ボーナスは42万だった。 コンビニのレジ横においてあるスポーツ新聞に、 「新庄」 の文字。 行き先が決まったんだろうか。 億単位の契約金には、俺の給料や賞与なんて誤差の範囲内だな。 野球と言えば、ドラフトで揉めていた高校生はどうしたんだろう。 進学して逆指名の道を選んだんだろうか。
ドラフトなんて止めちまえばいいと、俺は思う。 自分が入りたい球団に入ればいいではないか。
球団の戦力を拮抗させるためには、ドラフトが必要だ。 選手は、プロ野球という会社に就職したと思って欲しい。
まだ、逆指名が始まる前だったと思う。 入りたい球団に指名されなくてドラフトを拒否した誰かに対して、球団側の誰かが言っていた。 「誰か」 ばっかりだけど、まあいいか。 これ、明らかに嘘なんだよな。 巨人と広島なんて、大企業と中小企業ほどに違う。 そういうつもりでドラフトを続けるなら、ドラフトで入団した選手の年俸やCM出演は、プロ野球機構(だっけ?)で統一的に管理運営すればいいのだ。 プロ野球に就職したと言えるように。 球団での違いが露骨に現れないように。
シリーズ3作目。 本の帯にはミステリー&ホラーとあったけど、そのジャンルには入らないだろうと思う。 俺には、平安時代を舞台にした、シャーロック・ホームズとワトソン君のように思える。 謎解きの要素を薄く、人の哀しさを濃く、と、バランスは違うものの。 「お前、本当は、淋しいんだろう」 に、ちょっとどきっとした。
この人のアイディアは、いつも面白い。 オチがちょっと弱い気もするが。
俺の中にある一番古い記憶は、何だろう。 思い出せるのは、保育園に通っていた頃の日常の風景が、断片的にいくつか。 そんな風に断片的にしか思い出せないのは、 「物心」 を得たときに、非日常の記憶の多くを捨ててしまったからかもしれない。 「物心」 によっては日常になっていたかもしれない、いろんな記憶を。
今夜は月が綺麗だ。