被爆直後の広島でたくましく生きる少年ゲンを描いた漫画、はだしのゲン。 遠い昔のことではっきりしないのだが、小学校6年のとき、学校の図書室で読んだのだったと思う。 はじめからこれを読もうと思って読んだのではない。 忍者武芸帳とカムイ伝を全部読んだ後、他に読むものがなくて、何となく手にとったのだった。 当然と言えば当然だが、特に面白いというものではない。 それでも、読み始めると続きが気になって、結局最後まで読んでしまった。 薄暗い本棚の前に座り込んで。
はだしのゲンでは、人が苦痛にあげる声を 「ギギギ」 と表現していた。 俺にはこの 「ギギギ」 がどうにも納得いかなくて、実際に 「ギギギ」 と呟いてみては、やっぱり何か違うと思ったものだ。 漫画を読んでる間に、何度も何度も。 今から考えると、薄暗い中で 「ギギギ」 と呟きながら漫画を読んでいる子供の方が、よほど「何か違う」のだが。
さて、はだしのゲンは広島を舞台にしたものだが、長崎を舞台にした同じようなものはあるんだろうか。 無い。 長崎ローカルにはあるのかもしれないが、少なくとも俺は知らない。 漫画に限ったことではない。 あらゆる場面で 広島 > 長崎 となっている。 俺が広島に近いからそんな気がするのかもしれないが、ニュース等で長崎が扱われる時間は、広島に比べてかなり短い印象がある。 そんな訳で、長崎の人々は、 「どうせなら長崎に先に落としてくれればよかったのに」 なんて思ってるんじゃないかと、長崎の映像を見るたびに思うのだ。