終電に近い電車で帰ってきたというのに、コンビニで立ち読みしていた。
隣で同じように立ち読みしていた女の子が、小さく 「あっ」 と言って、ポケットから携帯をとりだした。
「あ、ついた? うん、今から駅に行くから、うん、ちょっとまってて、すぐだから」
携帯をポケットに入れて、ガラス窓を鏡に髪をなおして、持っていた雑誌を棚に戻して、また髪をなおして、歩きかけたと思ったらまたガラスに向かって髪をなおして、右を向いたり左を向いたりして、ようやく納得したのだろう。 今度こそ歩き出したと思ったら、駅の方に走って行ってしまった。
そこで走ったら、せっかく綺麗にした髪が台無しなのに…と、細かいことを気にしながらも、ちょっと微笑ましく思ってしまった。
焼酎とポテトチップスを買って帰った。