2004 12 09

輪廻転生

諸般の事情で思うように捗らない仕事の合間に。

「昨日、K's電気に行ってみたんですけど、80GBで2万5千円ぐらいでした」

「やたら高いな」

「そうなんですよ。 しかも1種類しかなくて。 やっぱり土曜にでも秋葉原まで行ってみます」

「じゃあ、ついでに俺のも買っといて」

「はい、いいですよ。 どうします? 一気に100GBとか?」

「んー、80GBで2万円未満で」

「じゃあその辺で」

「そうそう、K's電気のKって、創業者が川口さんだからなんだよね」

「あ、そうなんですか?」

「ううん、嘘」

「は?」

「だから嘘だって。 いや、たぶん嘘ってのが正確か」

「……」

「俺も知らないもん、Kの由来なんて」

「またそんな。 いい加減にしないと、そのうち渡邊さんの言うこと全部流しますよ?」

「そんなことして困るのは自分だよ?」

「うわ、嫌な感じですね」

「でもKはきっと創業者のイニシャルだよ。 木村とか加藤とか」

「そんな安易な訳ないでしょう」

「そんなもんだって。 自分だって一瞬信じたくせに」

「ちょっと待ってください。 調べますから」

「うん」

「あ、あった。 ありました。 ケーズデンキ」

「どう?」

「えーと… 企業情報ですよね。 で…」

「沿革かな」

「そうですね。 現名誉会長加藤馨が、茨城県水戸市元台町に加藤電気商会を… あっ!」

「ほらほら、どうよ?」

「……」

「創業が昭和22年か。 けっこう古いんだね。 その頃、俺はまだ精子にもなってないな」

「いきなり精子ですか」

「うん。 あ、いや、卵子なのか?」

「はあ…」

Kが加藤でちょっと勝った気分の後に突然湧いた疑問なのだが、仮に輪廻転生するとして、魂は精子と卵子のどっちに宿るものなんだろうか。 精子に宿って激烈に競争しているのか、卵子に宿って排卵されて精子を待っているのか。 いずれにしても生まれなかった場合は、あまりにも短い転生、物凄い勢いの輪廻だよな。 あ、受精や着床のタイミングで宿るとも考えられるか。 着工と同時に入居を募集するマンションみたいな。