俺の名前を言ってみろ
散歩の途中で目にした花や虫の名前を、帰りに図書館に寄って調べることがあるのだが、高幡不動の図書館は図鑑が貧弱であまり役に立たないことも多い。 雑誌や文庫本を充実させるのもいいけど、こっちももう少し何とかして欲しいものだな。 紙の本ではなく電子書籍だったりすると、検索が便利で良いのだが、さすがにここまでくると 「もう少し」 ってレベルじゃないか。
あぁ、そう言えば、何年か前に自分で図鑑を作ってみようとしてたんだった。 結構な数の花の写真があるので、前に見たけど名前が思い出せないときに簡単に調べられるようにと思ったんだよな。 急に仕事が忙しくなったので放置していたのだが、ちゃんと作ってみるかな。
姫檜扇(ヒメヒオウギ)
アフリカ南端が原産地で、日本には明治の頃に観賞用として持ち込まれたのだそうだ。 アフリカと聞くと凄く暑いところって気がするけど、南端の南アフリカは、日本とそう変わらないらしい。
菊吸髪切虫(キクスイカミキリ)
日の丸を背負いながら菊に害を為すという似非右翼。 菊の愛好家からは本当に目の敵にされているようで、キクスイカミキリで検索した結果のほとんどが search and destroy! だった。
ところで、檜扇に似ているがちょっと小さいので姫檜扇とか、菊の茎に潜り込んで汁を吸うから菊吸髪切虫とか、特徴がそのまま名前なのは、成長した姿やライフサイクルを見て名前を決めるから。
これが人の名前だと、名前を考えるのは生まれる前後なので、当然ながら成長した時にどんな特徴や特性を持つのかはほぼ不明。 子供がたくさんいた時代なら、長男次男といった関係性を名前にするパターンも多かったが、一人っ子がほとんどの今では、こうなって欲しいという願望で名前をつけるのだろう。 その結果、優しくも美しくもない優美が出来上がったり、幸子という名が皮肉になったりするのだが、まあしょうがないよな。
人の苗字は、植物や動物の種の名前をつける方に近いんじゃないかと思う。 立地や系列や職業や地名から。 立地は、田中や山口が典型的な例。 系列は、藤原とその他 「藤」 がつくものが有名どころ。 職業は、屋がつくのはほぼそう。 犬飼もたぶん職業だな。 渡邊は地名らしい。
こんな無難なものならいいのだが、中には、何故そんな苗字にしてしまったのかがさっぱり判らないものもある。 先日見た、そんな苗字の一覧。
| 阿呆 | あぼ |
| 悪虫 | あくむし |
| 汗井 | あせい |
| 穴虫 | あなむし |
| 虻川 | あぶかわ |
| 荒金 | あらがね |
| 怒 | いかり |
| 猪尻 | いじり |
| 喜捨 | いすて |
| 狗巻 | いぬまき |
| 豚座 | いのこざ |
| 忌部 | いんべ |
| 大蜘蛛 | おおぐも |
| 大尻 | おおじり |
| 大獄 | おおだけ |
| 男女島 | おめじま |
| 親爺 | おやじ |
| 蚊爪 | かづめ |
| 金持 | かねもち |
| 禿 | かむろ |
| 亀頭 | かめず |
| 枯芝 | かれしば |
| 官能 | かんの |
| 奇験 | きけん |
| 棄原 | きはら |
| 鬼屋敷 | きやしき |
| 金玉 | きんぎょく |
| 愚川 | ぐかわ |
| 苦水 | くみず |
| 邪答院 | けとういん |
| 小悪 | こあく |
| 降魔 | ごうま |
| 腰砕 | こしくだけ |
| 罪 | ざい |
| 斎場 | さいば |
| 嵯蛾 | さが |
| 蛇穴 | さらぎ |
| 醜茶 | しこちゃ |
| 尻毛 | しっけ |
| 下夷 | しもえびす |
| 蛇好 | じゃこう |
| 蛇沼 | じゃぬま |
| 蛇喰 | じゃばみ |
| 出頭 | しゅっとう |
| 嬲 | じょう |
| 上恐 | じょうきょう |
| 須股 | すまた |
| 崩山 | ずりやま |
| 瀬屑 | せくず |
| 窃野 | せつの |
| 駄斉 | ださい |
| 憑子 | たのし |
| 駄馬 | だば |
| 乳久保 | ちちくぼ |
| 血矢 | ちや |
| 痴山 | ちやま |
| 聾田 | つんぼだ |
| 屠 | と |
| 木賊 | とくさ |
| 泥舟 | どろぶね |
| 南蛇井 | なんじゃい |
| 肉倉 | にくくら |
| 濁沼 | にごりぬま |
| 野晒 | のざらし |
| 倍償 | ばいしょう |
| 蝿庭 | はえにわ |
| 墓下 | はかのした |
| 墓前 | はかまえ |
| 枷場 | はさば |
| 鼻毛 | はなげ |
| 孕石 | はらみいし |
| 伴邪 | ばんじゃ |
| 吐田 | はんだ |
| 非々 | ひび |
| 肥満 | ひまん |
| 蛭田 | ひるた |
| 蛭沼 | ひるぬま |
| 不具 | ふく |
| 福負 | ふくおい |
| 浮気 | ふけ |
| 不虚作 | ふこさく |
| 妖崎 | ふざき |
| 毒島 | ぶすじま |
| 二股 | ふたまた |
| 腐頭 | ふとう |
| 僻 | へき |
| 辺銀 | ぺんぎん |
| 骨田 | ほねた |
| 馬鹿 | ましか |
| 幡丸 | まんまる |
| 御手洗 | みたらい |
| 百足 | むかで |
| 東偽 | やおみ |
| 山姥 | やまうば |
| 山奇 | やまき |
| 闇雲 | やみくも |
| 指吸 | ゆびすい |
| 用害 | ようがい |
| 吉臭 | よしさわ |
| 霊園 | れいえん |
当時は何の問題も無かったのが、時代が変わって微妙になってきたもの。 その地域では何の問題も無かったが、他の地域から見ると微妙なもの。 逆に、選択の自由無く押し付けられた職業で、当時は忌み嫌われていたのが、今では意味が薄れて微妙程度になったもの。 何だか判らないが、微妙どころじゃないもの。 むしろちょっとかっこいいもの。 まあいろいろあるのだが、こんな(なんて言ってしまって申し訳無いが)看板を掲げて生きていくのは、きっと苦労が多いんだろうな。 特に子供の頃は。
あと、墓下さんや墓前さんは、子供の頃に霊園さんを見てもなんとも思わないだろうが、大人になってその存在を知ると、ちょっとモヤモヤするんじゃないかと思う。
これをそのまま名前として役所に出したら却下されそうってのがまた、ねえ。