日曜が仕事だと、6時からやってる世界遺産が見れないのか。 久しぶりに録画でもしてみるかな。
「メガネンって知ってる?」
「知らないです。 何ですか、それ」
「ビタミンとかカルシウムみたいなものの、メンタル版なんだよ。 心の栄養素」
「はあ…」
「可愛い眼鏡っ娘から出てるんだけどね」
「フェロモンみたいなものですか。 眼鏡じゃない可愛い娘からは出ないんですか?」
「うん。 まあ、可愛い娘からはいろんなのが出てるんだけど、特に眼鏡っ娘から出てるのがメガネンなんだよ」
「なるほど。 何となく言いたいことが判ってきました。 つまりメガネンが」
「不足してるんだね」
「不足してますか」
「うん、不足。 メガネン不足。 どうすればいいんだろうね」
「あー、まあ、どうしようもないですね。 あ、そう言えば、今月から一人眼鏡っ娘が増えてるじゃないですか」
「あー、そうだね」
「なんかやる気の無い反応ですね。 彼女じゃ駄目なんですか?」
「駄目って言うか、縁無し眼鏡だと、メガネンがあんまり出ないんだよね。 一口にメガネンと言っても、実は色々あるんだよ。 メガネンAとかB2とか、眼鏡と装着する人の組み合わせで、ちょっと種類の違うのが出るんだね。 で、メガネンを受け取る側も、それぞれのメガネンに対して受容体をもってるんだけど、その受容体に偏りがあるんだよ。 それで、俺がたくさんもっている受容体に適合するメガネンが出てこない状態」
「あはは、よく判らないけど、なんか贅沢言ってる雰囲気は伝わってきます」
「生理的な反応を贅沢と言われても困るんだけどね。 まあ、いずれにしても、今の状態じゃ駄目だ、って、本人に言ったら怒るかな?」
「そりゃ怒るでしょう」
「やっぱり怒るか」
「怒ると思いますよ」
「……」
「……」
「ギガネン」
「えっ? 単位だったんですか? しかもネンだけ?」
「贅沢なんて言うからさ。 そっち方面で考えてみたんだよ。 メガネンの1000倍。 いや、1024倍?」
「いや、訊かれても。 でも、縁無し眼鏡だと絶対に実現できない感じはします。 眼鏡の理想型とかあるんですか?」
「そりゃあるさ。 4つほど買ってきて、これをかけてくれって渡してみるか」
「実際されたらドン引きですね。 でも、なんで4つなんですか?」
「日替わり。 今の縁無しがあるから、あと4つあったら毎日変えれるじゃん。 それで、バランスよくメガネン摂取」
「あー、どんどん駄目な人になってますよ」
駄目で結構。
テキスト庵が閉鎖していた。 運営者の表現だと 「解散」 か。 この 「解散」 という表現に、テキスト庵がコミュニティだという思いが現れているのだろう。
結局、俺は登録しないままに、時々見に行くところという位置付けだったのだが、それでも無くなってしまうと寂しいものだな。 入ったことが無い地元の老舗が、或る日気がつけばシャッターが下りていて、閉店のお知らせが貼ってあるのを見たような感じ。
日記猿人→日記才人→閉鎖 となった後、受け皿として機能していたテキスト庵だが、今度もまた受け皿的な何かができるのかな。 一々ブックマークなんてしてないから、何も無いままだとテキスト巡回が不便なのだが。