組んだ手を裏返して、思いっきり上に伸ばす。 肩や肘がピキパキ鳴るのがちょっと情けないけど、それ以上に気持ち良い。 更に反り返って、右を向いて、左を向いて、また上に伸びて、その姿勢をキープ。 ついでに思いっきり欠伸なんかしてしまう。 ちょっぴり涙目。
「渡邊さん、なんかもう全然やる気無しって感じですね」
「んー、どうかな」
「どうかなって、その体勢で言っても」
「これは、あれ、えーっと、やる気玉?」
「何ですか、それ」
「みんなのやる気をオラに分けてくれ!ってやつ」
「やる気でしたっけ?」
「元気だっけ?」
「たぶん」
「まあ、似たようなもんだよ。 実際、どっちも無いし、誰も分けてくれないし」
「集まりませんか」
「集まらないね。 もう帰ろうかな」
「でたよ」
「実際にやる気玉ができたとしてさぁ、分けるほうに回ったら厳しいよね」
「やる気盗られちゃうから?」
「うん。 ちょっと分けてもらうって言うけど、もともとちょっとしか無いじゃん」
「あ、それは俺もやばいかも」
「だろ? 気をつけないと」
「そうですね」
そんな午後2時。 目が疲れたのはドライアイだから? なんて考えてて、今更だけど気が付いた。 ドライアイスって、解けても濡れないからドライアイスっていうんだね。