その昔、西条秀樹が派手な衣装で歌っていた。
悔しいけれど、お前に夢中
ギャランドゥ、ギャランドゥ
「ギャランドゥ」 とは何か? しばらく前にふと思い出して以来、ずっと疑問だった。
インターネットで検索しても、答えになるようなものは何も見つからない。 出張に行った先で、海外が長かった人に 「ギャランドゥって何ですか?」 って訊いてみたが、 「知らない」 という答えだった。 また別の、やはり英語の得意な人に訊いてみても、結果は同じ、 「知らない」 とのこと。 英和辞典(Microsoft/Shogakukan Bookshelf Basic - 英和辞典)を探してみたが、そんな単語はない。
英語じゃないんだろうか。 でも、当時の状況からして、英語以外から単語やなんかを持ってくるとは思えないんだけどな。 単語やなんか? なんか? ああ、単語じゃなくて熟語かもしれないな。 とすれば、ギャラン+ドゥか。
英和辞典を引き直してみたところ、今度はそれらしいのが見つかった。
- gallant
- 勇ましい,雄々しい,勇気のある
- (物・事が)堂々とした,壮麗な,華美な,飾り立てた,豪奢な
- (女性に)親切な,いんぎんな,恋愛[色事]の
- (女性に)親切にする,(女性に)言い寄る,(女性に)付き添う
- だて男ぶる,女に言い寄る,(男性と連れ立って)遊び回る
この辺から解釈するなら、 「男らしい行動」 或いは 「男であるが故の行動」 ということか。 悔しいけれどお前に夢中。 相手がいい女であるなら、それは確かにギャランドゥだ。 藤原紀香を好きというのはギャランドゥ。 前田愛を好きというのはギャランドゥじゃない。 三瀬真美子を好きというのはギャランドゥ。 神田うのを好きというのはギャランドゥじゃない。 満員電車でついつい痴漢をしてしまうのは、哀しい男の性というギャランドゥ。 被害者が綺麗なお姉さんなら助けにはいる、それもまたギャランドゥ。 痴漢 VS 正義の味方で、ギャランドゥ対決。
はっきりしないままに、そんなことを考えていた。
高尾山に登ってきた。 山頂のベンチで、アイスクリームを食べながらぼんやりしていた。 隣にいた家族連れのお父さんが、汗に濡れたシャツを着替え始めた。 そのとき、
「あーあー、お父さん、ギャランドゥが見えてるよ」
なにっ!
思わぬところで聞こえてきたギャランドゥに耳を澄ます。
「お母さん、ギャランドゥって何?」
「おへその周りに生えている毛のことよ。 こないだテレビで言ってたの」
「ふーん。 僕、ないよ」
「今からあったら大変でしょ。 お父さんぐらいになったら生えるかもね」
そうか、ギャランドゥとは、 「おへその周りに生えている毛」 のことなのか。 疑問がすっきり解消して、山頂の風も一際さわやかってもんだ。 なんか嘘臭いけど。
ちなみに、俺自身はちょっとギャランドゥだが、ギャランドゥな女はちょっとね。
家に帰って、ちょっと呑んで横になったら、そのまま眠ってしまったらしい。 目を覚ましたら、夜の12時前だった。 腹が減ってるんだけど、今から食うのも面倒だしなぁ…と、寝転がったままで迷っていたら、隣から怪しい声が聞こえてきた。
「どう? 気持ちいいだろ? いいだろ?」
「あぁ…」
「気持ちいいんだったらそう言って。 もっと言って! もっと叫んで!」
「あ… あ…」
「出すぞ! 出すぞ! おっ!」
静かになった。 こいつもギャランドゥなんだろうか。 どっちでもいいけど、叫ぶのは止めてほしいものだ。