2002 09 11

退屈な忙しさ

「ウイルスバスターって、もうちょっと何とかならないかな」

「ストレスですよね」

「定時スキャンは、まあ、そーゆーもんなんだろうけど、もうちょっとなぁ…」

「これ、スキャンが軽いのができたら凄い売れますよね」

「そりゃ売れるだろうけど… できるかな?」

「いやー、無理だと思います」

「駄目じゃん」

「はぁ」

「俺は、スキャンの速度は我慢するから、報復機能付のがほしいな」

「報復ですか?」

「だから、ウイルスを検知すると、送ってきた相手に報復ができるんだよ」

「やられたらやり返す、ですね」

「そう。 いろいろとね。 送信元のマシンのファイルを消すとかさ」

「それ、なんか問題多そうですけど」

「メールアドレスを拾って勝手に送信するのとかだとね」

「誰に報復していいか、難しいですよね」

「うん。 でも、やるよ」

「やりますか」

「やる。 誤爆も辞さないね。 あと、ウイルスを撒き散らしそうな奴には先制攻撃。 無限の正義」

「ひょっとして、それが言いたかったんですか?」

「そういう訳でもないんだけどね。 あ、そうそう、若林ってさぁ」

「若林?」

「そう。 名前の若林」

「はい」

「音読みするとジャックリーンになるんだよな」

「ジャックリーン… あ、そうですね」

「なんかちょっといい感じだろ?」

「はぁ… まあ…」

「渡邊だと、あんまりいい感じにならなくて、ちょっと負けた気分なんだよ」

「負けましたか」

「うん。 勝手に負けた。 全国の若林さんは、誰一人勝ったことに気付いてないだろうけど」

「そりゃそうでしょう」

「気が付かずに踏み潰されている蟻って、きっとこんな気分なんだろうな」

「それは多分違いますけど、どうしちゃったんですか?」

「うん、仕様書を書くのに、もうすっかり飽きちゃってさ」