1999 03 12

自分を棚に上げて

春二番の吹き荒れる中、新橋で打ち合わせ。

電車の中。 ドア横の席に座って雑誌を読んでいたら、小学生の集団が乗ってきた。 やたらにうるさい。 ただうるさいだけじゃない。 俺の前の吊革に飛びついて、ぶら下がって、じたばたしやがる。 数匹が順番にぐるぐる回りながら。 訳の判らん嬌声をあげながら。 もう全然なっちゃいないのだ。

ということで、すぐ近くにいた奴らにしか聞こえないほどの声で、優しく注意してやった。

「うるせーんだよ。 騒ぐなら電車降りてからにしろ」

言った俺がびっくりするぐらい、一気に静かになった。 奴ら、まるで波が退くように後ずさって、妙に緊張した空気の空間ができた。

なかなか興味深かったのはその後だ。 向かいの吊革を奪い合っていた2匹が、こっちの吊革が空いたのを見て、やってきた。 で、俺の前に立って、吊革に手を伸ばしかけたところで、その場を支配する緊張感に気付いたらしい。 「ここは、人の迷惑になるから、やめた方がいいよね」 なんて言いながら、元の場所に戻っていった。 大人の迷惑には気付かなくても、同じ子供の緊張感は伝わるらしい。

こうして(俺の周りだけが)静かになって気がついた。 引率の先生がいることに。 その先生、子供と一緒になってはしゃいでやがった。 何やってんだ、先生。 こーゆー無自覚な先生のせいで、自分さえよければってガキができあがるのだ。 ちゃんと調教しとけ、馬鹿者が。

えと…あの…俺、シルバーシートに座ってたんだけど、そーゆーのもありだよね?