春二番の吹き荒れる中、新橋で打ち合わせ。
電車の中。 ドア横の席に座って雑誌を読んでいたら、小学生の集団が乗ってきた。 やたらにうるさい。 ただうるさいだけじゃない。 俺の前の吊革に飛びついて、ぶら下がって、じたばたしやがる。 数匹が順番にぐるぐる回りながら。 訳の判らん嬌声をあげながら。 もう全然なっちゃいないのだ。
ということで、すぐ近くにいた奴らにしか聞こえないほどの声で、優しく注意してやった。
「うるせーんだよ。 騒ぐなら電車降りてからにしろ」
言った俺がびっくりするぐらい、一気に静かになった。 奴ら、まるで波が退くように後ずさって、妙に緊張した空気の空間ができた。
なかなか興味深かったのはその後だ。 向かいの吊革を奪い合っていた2匹が、こっちの吊革が空いたのを見て、やってきた。 で、俺の前に立って、吊革に手を伸ばしかけたところで、その場を支配する緊張感に気付いたらしい。 「ここは、人の迷惑になるから、やめた方がいいよね」 なんて言いながら、元の場所に戻っていった。 大人の迷惑には気付かなくても、同じ子供の緊張感は伝わるらしい。
こうして(俺の周りだけが)静かになって気がついた。 引率の先生がいることに。 その先生、子供と一緒になってはしゃいでやがった。 何やってんだ、先生。 こーゆー無自覚な先生のせいで、自分さえよければってガキができあがるのだ。 ちゃんと調教しとけ、馬鹿者が。
えと…あの…俺、シルバーシートに座ってたんだけど、そーゆーのもありだよね?