イラクの人質日本人は、未だに開放されていないらしい。 これ、朝からずっと 「何かに似てるんだよなぁ…何だっけなぁ…」 と気になってたのが、帰りの電車の中、吊り広告を見て気がついた。 週刊文春だ。 田中真紀子の娘の件で出版差し止めになったとき、他の記事を書いている人が、自分の記事を読まれる権利を主張していたこと。 犯罪紛いの勇み足を確信犯的に行う週刊誌に、他の記事によって問題が起きる可能性があると知りながら記事を書く。 そして実際に問題がおきた中で、読まれる権利を主張する。 目に触れることのなかった記事の重要性(或いは重要な記事がある可能性)を殊更主張する。 そんな構造がね。
気になると言えば、小太りのおばちゃんの妹らしい坊主頭も。 あの女、宗教臭いんだよな。 俺には、家族を助けるよりも、そこに掲げる大儀に酔っているように見える。 ジハードってやつか?
そうそう、変な家族で思い出した。 心の病(?)で長期休暇中の奴に、先週末、ちょっと急ぎの用事があって電話したときのこと。 最初に出たのは、多分母親だと思う。
「もしもし、どちら様ですか?」
「(社名をつけて)渡邊という者ですが」
「用事があったらさっさとしゃべったらどうですか?」
「は?」
…(なんか勝手に喋っているのだが、音が途切れがち)…
「すいません、音が途切れてよく聞こえないんですが」
「だったら耳の穴をかっぽじってよく聴いたらどうですか?」
実際に喋っている言葉は酷いものだが、口調はむしろ丁寧過ぎるぐらい。 その声は調子外れに甲高くて、林家パー子のよう。 男が無理矢理の裏声で喋っているようでもある。 絶句しながらも、 「ひょっとしたら本人が演じているのか?」 なんて思っていたら、換わって弟らしい男の声。
「誰ですか? 何か用ですか?」
と、今度は語尾の 「ですます」 がいかにもアリバイ作りという無礼な感じ。 ま、こっちは、毎度電話で妙なことを口走る母親(?)の尻拭いにうんざりしている気持ちの表れかもしれない。 しかし最初の人はね。 本人が裏声で喋ってるのも怖いが、母親だとしてもやっぱり怖い。 人間によく似た、しかし微妙に違うものに対する恐怖とでも言うのかね。 関節を全部砕かれて、紐で結ばれて、操り人形にされた人が、こっちにひょこひょこ不自然な歩き方で近寄って来るのを見る、そんな恐怖。 ってのも酷い表現なんだろうけど、まあとにかく久しぶりにゾッとした。