三菱一号美術館で 画鬼 暁斎 - 幕末のスター絵師と弟子コンドル を見てきた。
俺は今週ずっと休みなのだが、世間では明日から連休で今日は平日なんだね。 そのせいか、館内の混雑具合も程々だった。 空いている訳ではないが、ストレスが溜まる程混んでもいない。
河鍋暁斎は妖怪の絵を描く人という認識だったのだが、実は狩野派なんだね。 よく目にするのが浮世絵寄りのものばかりなので知らなかったよ。
狩野派風の作品には動物を描いているのが多いのだが、狩野派としてはどれもちょっと線が弱い気がするな。 浮世絵から絵の世界に入ってきたからだろうか。 それとも写実志向だったからか。 いや、写実ってのも微妙だな。 とがった耳のある蛇もいたし。
印象に残ったのは烏。 背景の線はやはりちょっと弱い感じなのだが、これが黒く塗り潰された烏をより強く見せていたように思う。
そうそう、狩野派風の絵の中に 「栗と栗鼠」 というタイトルの作品があった。 そんなタイトルのアダルトビデオがあったなーなんて思いながら見ていたのだが、俺の隣にいた家族連れは、
父親 「くりと… 何だこれ、りすか。 くりとりす」
母親 「ちょっと、子供がいるのに何言ってるの?」
父親 「え? いや、ほら、この絵のタイトルなんだけど」
母親 「は? そんな訳… って、あ、本当だ」
子供 「ねえ、くりとりすって何か変なの?」
母親 「そんなことは無いんじゃない? あはは…」
なんてことになっていた。 この後に春画のコーナーもあったのだが、あの家族はどうなったんだろう。 春画のコーナーはカーテンで隠されていて保護者の了解のもとに同伴で入ることとなっていたし、やっぱりスルーしたのだろうか。
暁斎は毎日絵日記をつけていたそうで、その一部も展示されていた。 絵日記には近所の人や交流のあった人が描かれているのだが、そこに出てきた弟子のコンドルが写真で見たのとよく似ていたので、きっと他も似ているのだろう。 その人達が大体楽しそうなんだよな。
絵日記はいろんな人に渡ってしまって一部しか残ってないそうだ。 写真がまだ普及していない時代だし、登場人物やその家族に写真代わりに貰われていったのだろうか。
人体ポーズ集みたいなのもあった。 これがまた、服を着た人、裸の人、骨格、とバリエーション豊か。 内容が美術の参考書に載っているようなもので、解剖学的にも結構正確なのに、絵としてはいかにも日本画という風情なのが面白い。
展覧会のタイトル通り、弟子のコンドルの作品も展示されていた。 彼の絵は、暁斎よりもさらに線が細い感じ。
コンドルの本業は建築で、三菱一号美術館もこの人の設計。 なので、絵だけでなく建築の資料もいつくか展示されていた。 コンドルについては、絵よりも図面の方が見応えがあったな。
東京駅は現在工事中。 地下通路の天井裏(?)には電灯が設置されているのだが、これが工事の間だけなのか常設されているものなのか、ちょっと気になった。