1999 05 13

5分間

家を出て電車に乗ったのだが、あまりにも調子が悪いので、会社は休むことにした。 府中駅でそのまま下りの電車に乗った。 乗客は高幡不動でほとんど降りて、車輌の中は俺以外に後3人ぐらいになった。

二十歳ぐらいの女の子が、隣の車輌からきて、俺の斜め前に座った。 色白のおとなしそうな感じの女の子。

少し遅れて、30代後半ぐらいの男がきて、女の子のすぐ隣に座った。 長髪を後ろで束ねた、日焼けした顔がむしろ不健康そうに見える男。

男は隣の女の子をちらっと見ると、ミニスカートから出ている脚を触り始めた。 最初は手の甲の方でちょっとふれる程度だったのが、だんだん露骨に撫で回すように。

女の子が席を立って、ドアの横に移動した。 すぐに男も立ち上がって、今度は女の子のすぐ後ろにぴったりくっついた。 スカートの上から尻を触った。 女の子が俯いて黙っているのに気をよくしてか、後ろから抱くようにして、胸を掴んだりスカートの中に手を入れたりしていた。

カメラを持った男が、その二人の周りでいろいろ角度を変えながら、何枚も写真を撮っていた。 もう一人の男が、ビデオを、こちらはほとんど固定で撮っているらしかった。 どうやら痴漢もののアダルトビデオ(?)の撮影らしい。 「うん、いいよ、その表情。 可愛いよ」 なんて、痴漢にあって嫌がっている表情の女の子に言っているのが、なんだか間抜けだった。

南平に着いて電車を降りるまでのおよそ5分間。 撮影の合間の、女の子の暗い表情が印象的だった。