封印
帰りの電車の中で、なんとなく吊広告を眺めていた。 「あ・に・ま・げ… あにまげ? なんだそりゃ?」 と、よくよく見たら、アニメージュだった。 Animage ね。 以前、Page1 と書いてある看板を 「ぱげわん」 と読んでいた小学生に、 「これだからガキは嫌いなんだよ。 子供に生れなくて良かったぜ」 などと心の中で毒づいていたのが、俺も同じレベルだったとは…
それで思い出したのだが、
「渡邊さん、結構子供っぽいところがあるよね」
「それって、少年の心を持った大人ってこと?」
「んー、なんか違う。 どっちかってゆーと、ガキ」
だそうで、俺はガキの心を持った大人らしい。
ガキの心はあるのだが、実は、ガキの記憶を一つ喪失している。 幼稚園のときのことだ。 運動会か何かで小学校の校庭にいて、当時の俺にはかなり高い吊り輪にぶら下がっていた。 そこから飛び降りようとして、積み上げてあったタイヤに足を取られて、顔面から落ちた。 そこまでは覚えているのだが、その後の記憶が無い。 そこから先は、親から聞かされた。
全然血が止まる気配が無く、泣き止まないので、病院に連れていった。 鼻の骨(軟骨?)が折れていた。 すぐに手術に入ったのだが、体が小さいのと頭に近いのとで、麻酔が十分にできない。 そんな状態でやる手術ってのが、鼻の穴から棒を突っ込んで、上から木槌でたたいて矯正するという、なんとも乱暴なもの。 木槌で叩く鈍い音と悲鳴の繰り返しに、とても耐えられなくて廊下に出たけど、悲鳴は廊下にまで聞こえてきた。
なんともね。 覚えていないというよりは、リミッターが働いて思い出させないってのが、正解に近いのだろう。 病院や医者に対して、必要以上に身構えてしまうのは、この体験のせいだろうか? まぁなんにしても、その後の俺の人格形成に、あんまりいい影響を与えてないのは確かだな。
そーゆーことなんで、痛くしないでね。