ホワイトデーだと気付いたのは、昨日の朝、テレビを見てのことだった。
「彼氏って、どんな人ですか?」
「そうねぇ。 彼氏って言うと、甘い感じがするでしょ?」
「まあ」
「でもねぇ、どうしようもないのよ、私のは。 彼氏と言うより旦那ね」
「旦那…。 結婚、しないんですか?」
「その人が、奥さんと別れてくれたらね」
「… あの… そんなのはやめて、俺とつきあって下さい」
「何言ってるの。 だめよ、渡邊君なんか。 ふふふ…」
ずっと昔の、ホワイトデーのことだ。 なんかこう、嫉妬だとか、無力感だとか、いろいろとね。 真っ白に燃え尽きたような、そうでもないような。
昨日のいい天気が嘘のように、今日は雨。 明日は晴れるかな。