まだ物を作らない段階での仕事は、つまらない。 今更言うことでも無いんだけど、要件調査とか仕様打ち合わせとか、ほんと、つまらない。
「子供の頃に、学校が火事で丸焼けになったり、地震で壊れたらいいと思いませんでした?」
「あー…うん、思ってたかも」
「俺、今まさにそんな状態ですよ」
「そうなの?」
「仕事がつまんなくて。 せっかく地震が起きてるんだから、納品先が崩れないかなって」
「まるっきり子供じゃん」
「いいんですよ、子供で。 あ、でも、そんな地震が起きたら、俺んちも危ないのか。 近所だし」
「買ったばっかりだっけ?」
「そうでした。 じゃあ、地震で滅茶苦茶になるのは中国にしときます。 今度また発注しなきゃいけないんですよ」
つい先日、そんなことを言ってたら、その翌日に中国四川省を中心に大地震。 被災者数万人の可能性もあるとか。
はっきり言って中国は嫌いだが、個々の中国人に対しては、悪いイメージばかりでもない。 思い出すのは、一昨年に一緒に仕事をした上海の人たち。 誰だったか、故郷が四川省だと言っていた。 俺には辛過ぎて飲めなかったスープを、 「私の生まれた四川省では、これは甘い方です。 上海は、ちょっと甘口の料理が多いです」 なんて。 「でも、もう上海に慣れたでしょ? 実はちょっと辛いな、なんて思ってませんか?」 というと、 「本当はちょっと辛いです」 なんて笑ってたんだよな。
彼の家族が四川省にいるなら、無事でいてほしいと思う。