地上の月

コヨツメアオシャク

小四ツ目青尺蛾(コヨツメアオシャク)

マンションの階段の壁に張り付いていた。

と、名前が幼虫と成虫の両方の特徴から構成されているのだが、これは珍しいパターンだよな。 尺蛾の他には蓑蛾ぐらいしか思いつかない。

ところで、こいつがここにいるのは、夜の間に灯りに飛んできたから。

蛾の他にもいろんな虫が灯りに向かって飛んでくるが、これが何故なのか、実ははっきりしていない。 飛んでくる軌跡が等角曲線となる理由も。

人が作り出す灯りがなかった時代、夜の灯りは月だけだった。 だから昆虫は月明かりをナビゲーションに使うようになった。 昆虫レベルの移動力だと、月は無限遠と見做せる。 だから月光に対して一定の角度を保つことで、まっすぐ飛べる。

そんな説明を見たことがあるが、俺の中では微妙。

この説は、どこか行きたいところが先に定まっていることが前提なんだよな。 でも昆虫の行きたいところって、異性のいる場所か餌がある場所か。 どちらにしても先に場所が判っていることは稀で、大抵は探しながら飛ぶことになるだろう。 まっすぐ飛ぶことにどれだけの意味があるのか。 気がつけば元の場所に戻ってた、なんて事態の防止ぐらいしか役に立たないだろう。

灯りに飛んでくるとき、実は紫外線に反応している。 LEDの光に飛んでこないのもこのため。 一般的に花は、可視光よりも紫外線で見た方が目立つ。 つまり紫外線をより多く反射している。 昆虫は、灯りを餌場と誤認しているのではないか。

そんな説もあるが、これはナビ説よりも更に微妙。 花に飛んでくる虫はこれでいいけど、カブトムシを代表とする樹液が主食の虫には通じないからね。 角度の問題が何も説明できてないし。

まあ、灯りに飛んでくる虫が、みんな同じ理由で飛んで来る訳じゃ無いんだろうけどさ。