2014 08 15

冷たい炎

三菱一号美術館でやっている ヴァロットン展 に行ってきた。

一昨日のホキ美術館が技術者の絵だったのに対して、こちらはいかにも画家の絵。 技術よりも印象、そのための構図やコントラストを重視しているように見える。

技術が無いわけじゃないんだよな。 何故かおっさんだけは写実主義で無駄にリアルだったりするし。 自画像含めたおっさんメインの絵は、ホキ美術館にあってもおかしくないレベル。 いや、それは言い過ぎか。

「普通なら女の人の肌を奇麗に見せるための技法で、おじさんの禿頭を艶かしくしてるんだって」

というのは、連れのお嬢さんによる、代表作 貞淑なシュザンヌ の解説。

個人的には逆にしてほしいところだけどな。 リアルなおっさんとか、いったい誰が喜ぶのか。 まあ、おっさんじゃないのは肉が余り気味のおばさんだったりするし、リアルに描きたくても描けなかったのかもしれないのか。 或は、これが彼なりの優しさとか。

版画は小さいのがたくさん。 版画って、コントラストが強くなるので、油彩よりも構図が目立つ。 その構図がどこか日本画っぽいと思ったら、ジャポニズムの当時、彼も浮世絵を収集していたのだそうだ。 浮世絵の影響を受けているのか、元々そういうのが好きだから浮世絵を収集したのか、今となっては不明だけど。

そうそう、逆の意味で凄いのが 竜を退治するペルセウス と題した神話ネタの作品。 解説に 鰐の剥製のような竜 と書かせてしまうぐらい鰐な竜。 裸のフレディーマーキュリーのペルセウス。 30年後のレイア姫といった風情のアンドロメダ。 これらが、大きなカンバスに何の工夫もなく並べられている。 しかも表情がアメコミ風。

いったい何があったんだ、ヴァロットン。 冷たい炎が生ぬるくなったのか? なんて思いながらその先にあった年表を見ると、そこにはわざわざこの作品が酷評された事が記してあった。 そんな酷評されるようなものを持ってくるなよ。

庭

美術館の中庭(?)にある像。 昼には、この像を取り囲むように人が座って昼食を食べていた。

三菱一号美術館

外観は古い公館といった佇まい。 煉瓦造りは当時の流行だそうだ。

階段の1

何だか妙に心惹かれる階段。 窓の掃除が大変そう。

階段の2

更に心惹かれる階段。 これまた掃除が大変そう。

階段の3

下から見上げて撮っているんだけど、上から覗き込んでいるようにも見える。

Cafe入り口

併設のカフェで何か食べようと思ったのだが、併設のくせに一旦外に出ないと入れない。 で、外に出たら死ぬ程暑かった。

同じことをカメラも思ったらしい。 そこで撮った写真が、死ぬ程暑そうな雰囲気になっていたのだった。