三菱一号美術館でやっている ヴァロットン展 に行ってきた。
一昨日のホキ美術館が技術者の絵だったのに対して、こちらはいかにも画家の絵。 技術よりも印象、そのための構図やコントラストを重視しているように見える。
技術が無いわけじゃないんだよな。 何故かおっさんだけは写実主義で無駄にリアルだったりするし。 自画像含めたおっさんメインの絵は、ホキ美術館にあってもおかしくないレベル。 いや、それは言い過ぎか。
「普通なら女の人の肌を奇麗に見せるための技法で、おじさんの禿頭を艶かしくしてるんだって」
というのは、連れのお嬢さんによる、代表作 貞淑なシュザンヌ の解説。
個人的には逆にしてほしいところだけどな。 リアルなおっさんとか、いったい誰が喜ぶのか。 まあ、おっさんじゃないのは肉が余り気味のおばさんだったりするし、リアルに描きたくても描けなかったのかもしれないのか。 或は、これが彼なりの優しさとか。
版画は小さいのがたくさん。 版画って、コントラストが強くなるので、油彩よりも構図が目立つ。 その構図がどこか日本画っぽいと思ったら、ジャポニズムの当時、彼も浮世絵を収集していたのだそうだ。 浮世絵の影響を受けているのか、元々そういうのが好きだから浮世絵を収集したのか、今となっては不明だけど。
そうそう、逆の意味で凄いのが
竜を退治するペルセウス
と題した神話ネタの作品。
解説に
鰐の剥製のような竜
と書かせてしまうぐらい鰐な竜。
裸のフレディーマーキュリーのペルセウス。
30年後のレイア姫といった風情のアンドロメダ。
これらが、大きなカンバスに何の工夫もなく並べられている。
しかも表情がアメコミ風。
いったい何があったんだ、ヴァロットン。 冷たい炎が生ぬるくなったのか? なんて思いながらその先にあった年表を見ると、そこにはわざわざこの作品が酷評された事が記してあった。 そんな酷評されるようなものを持ってくるなよ。
美術館の中庭(?)にある像。 昼には、この像を取り囲むように人が座って昼食を食べていた。
外観は古い公館といった佇まい。 煉瓦造りは当時の流行だそうだ。
何だか妙に心惹かれる階段。 窓の掃除が大変そう。
更に心惹かれる階段。 これまた掃除が大変そう。
下から見上げて撮っているんだけど、上から覗き込んでいるようにも見える。
併設のカフェで何か食べようと思ったのだが、併設のくせに一旦外に出ないと入れない。 で、外に出たら死ぬ程暑かった。
同じことをカメラも思ったらしい。 そこで撮った写真が、死ぬ程暑そうな雰囲気になっていたのだった。