昼飯食いながら。
「なんだっけ、あの宗教みたいな…」
「ライフなんとかね。 死体観察日記とか」
「すげーよなぁ。 死んでないって言ってんだろ? あれを信じるのが信じられねぇよ」
「んー、教祖ってさぁ、なんちゅーか、たいてい片輪じゃん」
「目が悪いとか?」
「そう。 その辺で、信者の方に隙ができるんじゃねーか? ボランティアみたいな」
「あー、そうかもなぁ」
「俺も教祖になろうかな」
「欠陥がなきゃ駄目なんだろ?」
「人の心が判りませんってのは駄目かな」
「心の片輪?」
「そう。 心の片輪。 で、とりあえず自己啓発セミナーあたりから」
「人の心が判らん奴が、自己啓発セミナーはないだろう」
「そうか。 しょうがねぇ、地道に稼ぐか」
帰りの電車の中。 女子高生らしい制服の二人が話していた。
「毎日腕立て伏せしたら、本当に胸がちょっと大きくなったよ」
「じゃあ、今はBカップ?」
「うん。 って、そんな声に出して言わないでよ」
「いいじゃん、おっきくなったんだから」
前々から思っていたのだが、 カップと言っていいのは C から だぞ。 起伏の無さでは包帯とたいして変わらない A をカップと言うのは、いくら何でも厚かましいだろう。
ところで、農工大かどっかの研究者が、牛と人の遺伝子を融合しようとしていたらしい。 隣のサラリーマンが読んでいた雑誌に書いてあった。 ちらっと見ただけなので詳しいことは判らないのだが、きっと 「科学の暴走」 なんて感じで弾劾されているのだろう。 ゴシップ記事に挟まれて、倫理だ何だと責められてもなぁ。
この研究者、何が目的で牛と人とを融合しようとしていたのだろうか? 記事なんか読まなくても、俺には判る。 ちょっと考えりゃ誰にでも判る。
巨乳
素晴らしいではないか。 崇高な目的の前では、倫理なんてくたばりぞこないの鈴虫みたいなもんだ。 気にせず踏み潰せ。
外は雨。