2018 12 17

止める/止まる

エスカレーターに乗るときは、他に誰もいなくても、左に寄って立ち、右側を開けている。 左手で手すりを掴んだ方が安定する気がするからだが、急ぐ人を通すためでもある。 各方面から 「エスカレーターに乗ったら歩かないで止まって」 と呼びかけられていることは知っているが、それでも歩きたいって人もたくさんいるし。

でもこの 「止まれ」 圧力、だんだん強くなっているらしい。 今日のNHKのニュースでも、エスカレーターに乗る人に向けて 「止まって下さい」 と呼びかけている映像が流れていた。 舞台は東京駅。 ちなみに、片側を空けるのは大阪駅から始まったそうだ。

止まっていた方が安全なのは確かだし、エスカレーターにも良いのだろう。 でも、どう呼びかけたところで、歩く人は歩く。

なぜ人はエスカレーターで歩くのか。

それは歩けるからだ。

もちろん急いでいるとか、ちょっと運動した気になりたいとか、パンツの中の位置を人知れず直したいとか、人それぞれに理由があるのだろう。 でも根本はこれ。 歩けるから歩くのだ。

なので、歩いて欲しくないなら、歩けないようにすればいいのだな。

具体的には、段差を現状の20cmぐらいから60cmぐらいにすればいい。 大人の男でもかなりきつい段差であれば、ほとんどの人はもう歩かないだろう。 歩かないだけじゃない。 段差60cmにすれば床面も同じぐらいの奥行きが取れるので、安全度もアップする。 キャリーバッグやベビーカーにも嬉しい広さになるだろう。 エスカレーターを入れ替えるという手間と費用はかかるが。

と思ったが、やっぱり撤回。

歩かせない以外にもメリットが多い60cmだが、万一エスカレーターが止まった時に詰む。 20cmぐらいまでの高さなら、止まったら歩けば済む話だが、段差60cmじゃどうしようもない。 階段じゃなくエスカレーターを選ばざるを得ない人たちにとっては特に。 これが東京駅の中央線のエスカレーターだったら、停電なんか起きたら救助隊が必要になるんじゃないか。

止まっている時間に価値を与えるのはどうだろう。

例えばiPhone用のアプリで、エスカレーターに乗った状態で起動すると、パンチラ動画が見れるとか。 最初は見えそうで見えない状態なのだが、一定時間エスカレーター相対で止まっていると判定されたら、ちらっと見えるのだ。 そしてこの一定時間を、各エスカレーターの端から端までにかかる時間にしておく。

エスカレーター毎にキャラクター設定しておくのもいいだろう。 あそこのエスカレーターはOL風に。 このエスカレーターは女子高生っぽく。 エスカレーターで止まっていれば、その子のパンチラが見えるかも知れないと。 で、たまに勝負パンツっぽいのがチラッと見えたと思ったら 「別にあなたのために着けたんじゃないから」 とか言われるのだ。

見せないつもりが見えてしまうのに比べると、かなり有難味が落ちる見せるためのパンチラだが、それでもパンチラはパンチラ。 盗撮の背徳感とスリルにはきっと遠く及ばない安全なパンチラだが、それでもパンチラはパンチラ。 足止めにはかなり有効ではないか。

欠点はほぼ男にしか効果がないことだが、ほとんどの男が歩かなくなれば女も止まるしかないし。

と、かなりの効果が期待できるのだが、実際にやっちゃうと、特定方面からめちゃくちゃ怒られるんだろうな。 そしてAppStoreからは速攻削除されるのだ。

障害者雇用はどうだろう。

登りエスカレーターに立って動かず、登り切ったら今度は下りエスカレーターに立って動かず、下り切ったら今度は登りエスカレーターに…

これを人が多い時間帯に延々繰り返す人を雇うのだ。

変化には対応できないが決まったことを繰り返すのは得意な人にうってつけの仕事だろう。 雇う側も、マニュアルを準備したり指示する言葉に気を遣ったりサポート人員を配置したりといった、障害者雇用について回る苦労をあまりしなくても済むのではないか。 順路を決めたら、あとは関東圏なら 「右側に立って動くな」 でいいのだから。

一度決めた順路を変えるのが難しいのが欠点だが、エスカレーターの設置場所が変わることなんてそうそう無いだろうし。

これまた実際にやっちゃうと、特定方面から怒られたりするのかね。

あ、欠点がもう一つあった。

このやり方でエスカレーターを歩くことを止めた場合、止められた人は 「止められた」 と感じるんだよな。 自分の意思に反して止められたと。 あいつに止められたと。

これがパンチラだと、止められた側に止められた感が無い。 自分の意思で止まったつもりで、しかも 「もっと止まらせてくれ!」 なんて思いそう。

あれ? なんか意外に奥が深いかも。