容姿という説得力

イタリアの男は、女と見れば誰にでも声をかけるそうだ。 声をかける相手のことをどう思っているかは別として、声をかけるのがマナーだから声をかけるのだと、昔、テレビに出ていたイタリア人が言っていた。

そんなイタリアで、女裁判官がレイプの裁判に下した判決。 FRONTROWから。

今から約4年前の2015年、当時20歳だったペルー人女性が同じくペルー人の男2人にイタリア・アンコーナでレイプされた事件で、伊裁判所が「(被害者の女性の外見が)レイプされるほど魅力的じゃない」という加害者側の主張を認め、女性の訴えを棄却していたことが発覚。

裁判の判決が下されてからすでに2年以上が経過しているが、つい先日、伊最高裁判所がこの判決を却下&再審を命じたことで事実が公になり、国内外から批判が殺到している。

米CNNによると、被害者の体にはレイプされた際にできた可能性が高い傷があったほか、血液からもデートレイプの際によく使用される鎮静剤が検出されるなど、レイプが事実であったことを証明する証拠が複数でてきた。

にもかかわらず、当時裁判を担当した3人の女性裁判官は、被害にあった女性の証言を「説得力がない」と一蹴。 加害者の男たちの「(被害者の女性は)レイプされるには男っぽすぎる」という理不尽な主張に同意したという。

また、裁判の報告書などから、法廷で加害者2人のうちどちらかが、自分の携帯に被害者のことを「バイキング(Viking)」という名前で登録していたことなどを例にあげ、女性の容姿を侮辱し続けていたことも地元メディアの取材によってわかっている。

被告側の言う レイプされるには男っぽすぎる に裁判官も納得してしまうとか、裏ではバイキングと呼ばれていたとか、原告の女は一体どんな容姿だったのか。 不謹慎ではあるが、一番の興味はそこだったりする。 判決憎しの記事になっているので、実際の裁判がどうだったのか、容姿が棄却の主な理由だったのか、その辺りは割り引いて考える必要があると思うが。 記事中の証拠も、いずれも可能性が高いってだけのものだし。

まあしかし、容姿が酷いからレイプされないってものでもないんだよな。 酔った勢いだったり、もう誰でもいいからって理由(?)だったり、こいつならレイプされたと言っても誰も信じないだろうって打算だったりで、可能性は0じゃない。

ところで裁判に登場する原告も被告もペルー人なのだが、この人たちはなぜイタリアにいたのだろう。 観光旅行なのか、出稼ぎなのか、難民なのか。 短い記事からは、出稼ぎのペルー人コミュニティがあって、男女共そこに属していんじゃないかと思えるが、実際はどうだったんだろうね。

この辺りが気になるのは、裁判官の中に何かバイアスがあるんじゃないかと思うから。 何もなくてもペルー人を一段下に見てそうなところに、難民だったり出稼ぎだったりした日にはもう一段下がりそう。 だから女の訴えにも 「ペルー人なんてどうでもいいから、揉め事なら国に帰ってやってくれ」 とか 「周りに魅力的なイタリア女がたくさんいるのに、なぜペルー女なんかを?」 なんて思ってるんじゃないか。 それが判決にも微妙に影響してるんじゃないか。 そんな感じで。

いやもう本当に、見ただけで 「あ、これはない」 と思ってしまうような、他の物証よりもはるかに説得力の高い容姿だった可能性もあるんだけどさ。

高尾山の桜の1

高尾山口駅付近の桜。

高尾山の桜の2

高尾山口駅付近の桜をもう一つ。 まだ三分咲きといったところ。