2006 03 19

強風

鬼怒川温泉へ。

鬼怒太

鬼怒川温泉駅に立つ鬼。 鬼怒太だそうだ。 安易だよなぁ… なんて思いながら眺めていて気が付いた。 狸の鬼怒太は逆から読んでも狸の鬼怒太だ。 まあ、鬼怒太は狸じゃないんだけど。

名残雪

雪の残る山並み。 少し肌寒い空気。 そんなもので、旅をしていることを実感する。

下今市

東武鬼怒川線下今市で降り、日光線今市駅まで歩く。 その間の町並み。 住みたくは無いが、眺めて歩くには良い、通り過ぎるだけの町。

地蔵

黒衣鯖人を思い出した。

さて、帰り道。

新宿行きの宇都宮線に乗っていたのだが、宇都宮を出て間もない小金井で、 「現在、強風のために運転を見合わせております。 この電車は当駅から回送電車となります」 と、突然に降ろされてしまった。 しょうがなく、同じように小金井で留っていた上野行きに乗り換えたのだが、これももちろん動かない。 そのままおよそ2時間半。 ようやく発車したと思ったらノロノロ運転。 明るい内に帰る筈だったのが、上野に着いたときにはすっかり夜。 「当電車、強風で運転を見合わせておりました関係で、209分遅れての到着となっております」 だそうだ。 それからまた乱れたダイヤを乗り継いで、家に帰ったのは10時。 さすがに疲れた。

小金井で乗り換えた電車では、先頭車両の先頭の席に座っていた。 そのため、運転手に文句を言いに来る人たちが良く見える。 文句を言いに来るのは、ほとんどがおっさん。 中年の後半から初老といった世代。 職場等であまり我慢しなくてもいいポジションにいるから、こういった場でも我慢ができないんだろうか。

文句を言ったところで何が変わるものでもないと判っているくせに文句を言うのは、ストレス解消のため。 少々文句を言っても逆らわない逆らえない相手だし。 いや、むしろそこか。 ただ文句を言うのではなく、逆らえない相手に文句を言うのが、ストレス解消になるのかもしれない。

ちょっと面白かったのは、文句の展開。 文句の前半は、 「いつまで待たせるんだ」 とか 「俺は急いでるんだ」 とか、要するに自分のことばかりなんだけど、後半になると 「みんな」 が出てくる。 「次の駅まで行けばみんな乗り換えられるのに」 とか。 言い合いになればただヒートアップするだけだが、一方的に文句を言うのはやはり結構なストレス解消になるんだろう。 それでちょっと冷静になって、冷静になると同時に湧き上がってくる微妙な罪悪感(或いは恥ずかしさ?)を打ち消したくなって、自分を正義に持っていこうとするのだ。 言いたいだけ言って引き上げるときには、 「みなさん、まだ帰れないそうです」 なんて言ってたのは、ちょっとばつが悪くなったのか。

まあ、職員の対応も悪いんだけど。 何の展望もなくただ待つのは辛い。 30分毎に判定しているなら(文句を言いにきたおっさんに説明しているのを聞いて知った)、次の運転再開判断の時間は何時だと言えばいいのだ。 そうすれば、それまでは安心してゆっくりと駅の売店にでも行ける。 それだけでも気分転換になるのだ。 選択肢の提示も大切。 次の駅までタクシーで行けば新幹線が動いているとか、下り電車(待ってる間に何本か来た)に乗り換えて宇都宮まで戻って新幹線とか。 それぞれでかかる費用も。

それにしても30分。 風が治まったかどうかの判断をするのに、そのぐらいの時間がかかるのは判らないでもない。 しかし待つ身にはあまりに長い時間。 30分毎に流れる車内アナウンスに、皆の心が無駄に一つになっていた。 一瞬の希望。 直後に落胆。 苦笑い。 そして諦め。 結局俺はその電車に乗って帰ったのだが、電車を降りる人も結構多かった。 「車で迎えに来てもらうんだけど、一緒にどうですか?」 なんて、隣に座っている人に声を掛たりするのは、なかなか心温まる光景だった。

それもこれも、いつかはいい思い出。