財務省の事務次官の福田淳一が辞任した。 テレビ朝日の女性記者に対するセクハラ疑惑を受けての辞任と報じられている。 本人は否定しているが。
新潟県知事の米山隆一も辞任した。 こちらは買春疑惑で本人も認めている。 女に縁が無いから金でなんとかしようと…なんて言ってるらしい。
これらを報道する記事やニュース番組が、正直ちょっと面白い。
まずはBBC News Japan から記事抜粋。
女性の労働人口を押し上げようという努力の裏で、日本ではなお、公共・民間問わずに大きな男女格差がある。
福田事務次官の辞任発表に先立ち、週刊新潮報道と財務省の当初の対応を受けて日本新聞労働組合連合(新聞労連)は声明を発表し、職務環境でのより強い女性保護を訴えた。
新聞労連は、多くの女性記者が「取材先と自社との関係悪化を恐れ、セクハラ発言を受け流したり、腰や肩に回された手を黙って本人の膝に戻したりすることを余儀なくされてきた。屈辱的で悔しい思いをしながら、声を上げられず我慢を強いられてきた」と指摘。 「こうした状況は、もう終わりにしなければならない」と呼びかけた。
呼びかけているのは、誰に対してか。
職場や会社に対してなんだよな。 セクハラする側が悪いのはもちろんだが、そんなところに女性記者を送り込んで、色仕掛けでネタを取ってこさせるようなことはもう止めよう。 そう言っているのだ。
そう呼びかけられた会社側、当事者の一方であるテレビ朝日の会見。
週刊新潮で報じられている福田事務次官のセクハラ被害問題について、セクハラ記者の仲に当社の女性社員がいることが判明しました。 当該社員は当社の聴き取りに対し、福田氏によるセクハラ被害を申し出、録音内容の吟味、関係者からの事情聴取を行った結果、セクハラ被害があったと判断しました。
みなさまご承知のように、福田氏は先ほど財務次官を辞任する旨を発表いたしまして、その記者会見の場で、週刊新潮が指摘したセクハラ行為を否定しておられます。 しかしながら、当社社員に対するセクハラ行為があったことは事実だと考えております。
女性社員は精神的に大きなショックを受け、セクハラ行為について事実をあいまいにしてはならないという思いを持っております。
当社は女性社員の意向も確認した上で、こうやって会見をやっております。
当社は福田氏による当社社員を傷つける数々の行為と、その後の対応について、財務省に対して正式に抗議をする予定です。
この社員ですが、1年半ほど前から取材目的で、福田氏と1対1で会食をしました。 が、その度にセクハラ発言があったことから、自らの身を守るために、会話の録音を始めました。
今月初めに福田氏から連絡を受けましたが、取材のため、1対1で会食をしましたが、その際にもセクハラ発言が多数あったことから、途中から録音をいたしました。
そして後日、上司にセクハラの事実を報じるべきではないか、と相談しました。 しかし「放送すると本人が特定され、2次被害が心配されることなどを理由に、報道は難しい」と伝えました。
そのためこの社員は財務次官という社会的に責任の重い立場にある人物による不適切な行為が表に出なければ、このままセクハラ行為が黙認されてしまうのでないかという強い思いから、週刊新潮に連絡をし、取材を受けたということです。 その後、週刊新潮からの要請を受けて、録音の一部も提供しています。
女性記者に取材させ続けたのはパワハラかつセクハラの片棒担ぎだと思うが、そうした反省は一切見せず、むしろ自らもセクハラ被害者であるかのような物言い。 ハニトラ要員のセクハラ被害の訴えを握り潰したら他社にリークされたので、その他社の記事をネタに抗議します という、企業としてはもちろん報道機関としても致命的な失態なのに、なぜか正義面でセクハラに抗議する姿勢。 さすがはテレビ朝日。 朝日の名前は伊達じゃないってことか。
ところで、BBCの記事のタイトルは
日本に#MeToo上陸
なのだが、上陸したのは運動の名前だけだよな。
実名で告発するから
「Me」
なのに、日本では、少なくとも俺の知っている範囲では匿名ばかり。
たまに実名が出ると思ったら特定の団体の人たちで、#MeTooの看板を掲げてはいるが、その主張はいつもの繰り返し。
本家の#MeTooも微妙なんだけどさ。 実際に被害があった時でなく、その場で黙っていることで得られる利益を得た後で訴えてるし。 訴えたところで相手にしてもらえないかもしれない。 黙っておけば仕事がもらえる。 そんな葛藤があったとは思うが、結局黙っておくことを選択し、その結果として得た今の地位と名前という力を背景に告発。 やっていることは確かに正義なんだろうが、その根底にあるのは個人的な恨みや怒り。 力を背景に負の思いを果たそうとするのは、その恨みを植え付けたセクハラと同じ構造だろう。
まあ、そんな構造は割とありふれているし、動機がどうであれ、それで良い方向に向かうならどんどんやってくれればいいんだけどさ。 負の連鎖を断ち切るには、やっぱりこのぐらいのことは必要だと思うし。 でも#MeTooの人たちは、そんな良い未来のためにとセクハラを黙っていたわけじゃないよな。