2005 05 19

胸の谷間に見た魂

朝の通勤電車。 座れなかった日のいつも通り、ドア横の手すりに持たれて窓の外を眺めていた。 視線を車内に向けると、俺のすぐ前には、胸元の大きく開いた服を着た女の人。 片手を顎の下辺りまで持ち上げて、少し俯くようにして、ドアに向かって立っていた。 寒いのか、何かを隠そうとしているのか。 何となく気になってちらちら見ていて気付いたのだが、胸の谷間にまたがって何か文字が書いてあるのだな。 俺の位置からは、谷間の向こうに 「魂」 という文字が見える。 谷間のこちら側、俺からはぎりぎり見えない側面にも何か書いてあることは分かるのだが、それが何という文字かは判らない。 何だろう? 見えないと余計に気になる。 大して深くも無い谷間なのに。 何だろう? 闘魂? 入魂? いっそ乳魂?

女の人に首輪をつけて 「ご主人様」 なんて呼ばせていた監禁事件。 その胸にどんな魂を宿しているのか知らないが、犯人は同じようなことを何度も繰り返していたらしい。 で、俺は、この事件を最初に目にしたとき、 ちょっと羨ましい と思ったんだよね。 被害者には悪いけど、もちろん俺はしないけど、でもやって見たいと思う気持ちも、俺の中には確実にあるんだよね、これが。 あの犯人に対して怒りも感じるのだが、その怒りは、女性がたぶん感じているであろう被害者の側に立ってのものではなく、 「俺だって我慢しているのに、あいつは好き勝手しやがって」 なんてものなのかもしれないのだな。 俺の胸に宿る魂も、きっとろくなもんじゃない。 なんかもう駄目駄目。 そんなことでどうするよ、俺? って、今更どうしようもないんだけど。 とりあえず、メイド喫茶にでも行くか。