NHK の 「課外授業・ようこそ先輩」 を見た。 荒俣宏が小学校に行って、小学生に学校図鑑を作らせていた。 女の子が、学校のトイレの調査をしていた。 荒俣君の、 「男子トイレには、入ったのか?」 という質問に、恥ずかしそうに首を横に振る姿を見て、塾の講師をしていたときのことを思い出した。
授業の後、生徒の女の子と話していた。
「私、透明人間になれたら、やってみたいことがあるの」
「なに?」
「笑わない?」
「ん。 笑わないよ。 なに?」
「あのね、男子トイレがどうなってるのか、見てみたいの」
約束を破って、大笑いした。 「笑わないって言ったじゃない」 と言うふくれっ面は、 「そんなに見たけりゃ見せてやるよ」 という言葉で、たちまち解消した。
ほかの生徒が帰るまで待って、男子トイレを見せてやった。 「ふーん、こうなってるんだぁ」 なんて言いながら、あっちこっちチェックしてた。
「満足した?」
「うん。 満足」
そう言う顔が、ほんとに満足そうだった。
そうそう、もう一つ思い出した。
また別のある日、その子と話していた。
「私ね、彼氏募集中なの」
そう言われたら立候補するのがルールだと友人が言っていたのを思い出して、俺も言ってみた。
「じゃあ、俺でどう?」
「先生? 先生はねぇ、キープの一番!」
人差し指を立てた手を俺に向けてつきだして、得意そうな顔をしてた。 またずいぶんと意外なところで、一番になったものだ。
しかし、あれだな。 状況だけを言うと、 放課後、誰もいないトイレに女生徒を連れ込んだ ことになるわけだ。 なんとも、ろくでなしな響きだよな。