首筋の後ろ右側が、なんだかピクピクしている。 右手の指先もかすかに痺れていて、 「このまま半身不随になるんじゃないだろうか?」 という恐怖を、感じたり感じなかったりの嫌な一日。 昨日呑み過ぎてそのまま寝てしまったのだが、そのときに寝違えたのだろう。
「なんかさぁ、朝からずっと、右の首筋から腕にかけて痺れてるんだよ」
「やばい感じですね」
「うん。 このまま半身不随になったらどうしよう。 もう酒やめる」
「ははは」
「ところで半身不随だけどさ。 これって半身が自分の意思に従わないってことだよな?」
「そうですね。 動かしたくても動かないとか」
「今ちょっと思ったんだけど、逆の不随もあるよな」
「逆?」
「そう。 意思とは関係なく元気になる方向で」
「元気になる… どーゆーことですか?」
「下半身不随で勃ちっぱなしとかさ」
「うわ、それはそれで嫌かも」
「ジーンズなんてもうきつくて穿けなくて、いつもジャージ」
「でもジャージだと、勃ってるのがばればれですよ」
「そう。 満員電車なんて絶対乗れないんだよ。 恐ろしい」
「本当に恐ろしいですね」
「だろ?」
本当にそうなったらどうしよう…