約30年

出張で東京に来ているので、叔父さんが元気なうちに会っておきたい。

と、従兄弟が訪ねてきた。

最後に会ったのが確か大学に入る前だから、もう30年以上前だ。 話だけなら、伯父が亡くなる前後に電話で少しやりとりしたが、それももう3年前。 父は伯母の葬式に顔を出しているが、それも8年ぐらい前だったはず。

なので駅に迎えに行くときは、従兄弟をちゃんと見つけられるか不安だった。 が、駅には、俺の記憶の中の顔をそのまま中年にした顔があった。

互いの近況とか、家族の現状とか、約30年の空白を埋めた。 ダイジェスト版だが。 当たり前だけど、みんなちゃんと生活してた。

父とも話すのだが、こちらはまあいつも通り。 伯父と伯母、つまり父の兄とその奥さんが亡くなったことはもちろん、さっき何を話したかも覚えていないので、

「皆元気か?」

と何度も訊く。

そのたびに

「元気にやりよるよ」

と答えていた従兄弟だが、きっと色々察してくれたのだろう。

そういえば、最初に訊かれた時、答えるまでに一瞬間があったな。

露虫

露虫(ツユムシ)の仲間。 マンションの廊下の外壁にいた。