小型のプロペラ機ばかりの飛行場で、管制塔も小ぢんまり。
滑走路のフェンスの外に、一羽ぽつんと座っていた。 2mぐらい近付くと、ようやく立ち上がって、しかしいかにも面倒そうに数歩歩いて立ち止まり、こちらの様子を伺っている。 俺が立ち去ったら、またさっきの場所に戻って座り込むのだろう。
ところで、鳥ってのは飛行機をどう見てるんだろう。 でかい鳥だと思っているのかな。
正面から見た飛行機は、出番を終えた道化師の疲れた顔のようにも見える。 笑顔のメイクのままで、今にも泣き出しそうな顔。 そう見えるのは、俺が疲れているからか、それとも曇り空のせいか。
飛行場に隣接して立つ、パイロット株式会社。 俺の中では、パイロットといえば筆記具なのだが、この会社の売り物は文字通りのパイロットなんだろう。 パイロット専門の人材派遣かな。 しかしまぁ、どうなんだ、このストレートなネーミングは。
緑に食い尽くされつつある。 そんな風情のこの家に、宇宙海賊キャプテン・ハーロックを思い出した。 地球に絶望し、それでも地球を守るため、アルカディア号に乗って戦うハーロック。 敵は、宇宙の遥か彼方から大艦隊で押し寄せるマゾーン。 地球の植物と全く同じ組成の、紙のように燃える美女ばかりの種族。 マゾーンに征服された星は、熱帯を思わせる巨大な植物の緑に埋め尽くされるのだ。