2008 07 22

エアバッグ

無駄に忙しい。 そんな忙しい時間のわずかな隙間に。

「こないだエアバッグが開くのを見たんですけど、凄いんですね、あれ」

「凄いって、開く勢いが?」

「そうです。 なんか、あれはあれで怪我をしそうな」

「あー、そうかも。 俺も以前にテレビで見て、同じことを思ったよ」

「あーゆーのを見ると、ちょっと怖くなりますね」

「まあ、死ぬよりはいいんだろうけど、あれで顔を殴られるのも、ねえ」

「そうなんですよね」

「あれってさ、どうせ痛い思いをするんだから、何か付加価値がほしいよね」

「付加価値ですか?」

「うん。 痛くても、まあこれならいいかって言えるような」

「そんなの有りますかね」

「んー…無いかも」

「ですよねぇ。 事故じゃ、生きてるだけでも価値があるんだし」

「あ、衝撃を受けて開くエアバッグが峯不二子ってのはどう?」

「あはは、そっちですか」

「うん。 ちょうど胸の谷間に顔が埋まるようになってるんだよ」

「なんかちょっと楽しそうですね」

「せっかくだから、暖かさと柔らかさ、感触までリアルに再現!みたいなのをね」

「あ、でも、私はどっちかって言うと、小さいほうが好みなんですけど」

「そうなの?」

「そうなんですよ」

「でも、貧乳のエアバッグだと痛いよ? と言うか、死ぬよ?」

「それはそうなんですけど…」

趣味に命を懸けるのも有りか。